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No.007 専門医

2010/12/02

僕はかつて9の学会に所属していた

内科学会、消化器内視鏡学会、糖尿病学会、感染症学会、化学療法学会、総合診療学会、救急医学会、病態栄養学会、内分泌学会
この内、いくつかの学会では評議員や専門医、指導医の資格をもっていた

しかし、だ

認定医、専門医、指導医などは国家資格ではない

財団法人か何かの、やたらに多く、かつ細分化した医学会が、
応募した医師に対して、それぞれ独自に定めた規則に従って認定をしている、
いわば私的な資格に過ぎない

専門医等の資格を有していれば、一般の人からはその道の権威のように見えるかも知れない
確かに、専門医、認定医の資格を取得するのには、それなりの努力が必要だし、試験もある

ところが資格取得後の現実はどうか?

大半の医学会は、学会主催の学術集会に出席した証拠さえあれば、認定の更新が可能である
しかし、せっせと学会に通い、点数を集め続けなければ、5年ごとの更新はできないということだ

点数獲得のためだけに、はるか遠くで開催される学会に行き、会場費を払って登録して、またとんぼ返りという人は多いし、僕もそうだ

僕はすでに、3つの学会を退会した

当然、退会と同時に専門医も返上したことになる
今、さらに3から4の学会についても、専門医等を更新しないか、あるいは退会するつもりでいる

地方に暮らしていると、1つの専門医を維持するのさえ大変である
 (勿論、これは一般論で、長野に関して言えば、長野新幹線で東京まで1時間半と便利)

専門医の肩書きは(一部の例外を除いて)なくても困らないし、まともな診療はおこなえる

いっぽう、こまめに学会に出席して点数を集め、
専門医を維持している人が、
必ずしも、まともな診療ができているとは限らないことは、医師なら誰でも知っている

友人であるS先生は、かつて名言を放った

「僕は無冠の帝王がいい」
事実、S先生は「専門医」ではないが、
僕の理想とする、すばらしく優秀な臨床医だ

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