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No.082 余計な一言

2011/10/25

「何で僕が診るの?」

ある日の午前外来の終りかけ
つい、口から出た

自分が担当医でない患者さん、全く知らない患者さんが、午前の受付時刻を過ぎたか過ぎないかの、ぎりぎり時刻で受診申し込みをしたのだ
もちろん、予約外の患者さんである
当然、診察室に回って来るのはもっと後となる
看護師は、 「いつもの担当医が診療を終えて、診察場から出て行ってしまったので診て欲しい」 と僕に言う
そこで思わず発した言葉がこれである

言わなくても良いことを言ってしまった

どうせ診るのなら、もっと気持ちよく受ければいいものを
「ひとこと余分」 とはこのことだ

その日、僕は当直明けですぐに午前外来に入った
そして、すべての患者さんの診察をようやく終え、「これで少し解放されるんだ」と思った矢先のことだった
そのため、突然の、想定外の患者診察依頼にイラついたことは確かだ

結局、普通に診察、投薬をして、患者さんには帰ってもらったが、後味は悪かった

「何で僕が診なけりゃいけないの?」 という発想が、そもそも狭量だ

「診させてもらえて嬉しい」 という心情に何故ならないのだ!
人から頼られるということは、本当に幸せなことなのに

いつもなら、きっと、さりげなく引き受けたように思う
しかし、正直、その時は疲れていた
だから、不親切な対応となってしまった
ナースが、折角、僕を頼りにしてくれたのに、申し訳ないことをしてしまった

教訓1:医者は自分の体調管理が極めて大切
自らの体調が良ければ、患者さんに笑顔で接することは苦ではない
スタッフにジョークを飛ばすのも苦にはならない
疲れていたり、体調が万全でないと、人に優しくする余裕がないし、イラつくことだってある
教訓2:どんな場面であっても、人を不快にさせるであろう 「余計な一言」 は言わない
医者も人間だから、疲れていたり、体調不良のこともある
そんな時は、無理をして喋らない、ただ微笑んでいるだけでよろしい
教訓3:人から頼まれた時は原則、素直に引き受ける
絶対に不可能な場合を除いて

こんなことを、帰宅するまで、うじうじと考えた
自分の嫌な一面を見た一日であった

よし、明日からは、リセットだ

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