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No.380 成果主義

2015/04/27

一時

「成果主義」 による人事評価が幅を利かせた時期があった
時遅く、今ごろになって 「成果主義」 を唱える企業体や省庁、自治体もある

ところが、皮肉なことに

「成果主義」 を積極的に取り入れてから業績が悪化した企業は多い
このことを教訓にして、近年では成果主義一辺倒をあらため、日本的年功序列を基本とする企業が増えていると聞く

世界最大級の投資銀行である米国ゴールドマン・サックスも

基本は年功序列で、会社に利益をもたらした従業員にはそれなりの賞が与えられても、それがきっかけで出世コースにのることはないという

そもそも 「成果」 とは何なのか

分かりづらく、客観性に乏しい面が多い
営業係なら営業成績が数字でわかるが、総務、庶務、人事などの部門は何を基準にして業績評価をするのだろうかということがしばしば問題に上がる
上司に取り入ることが得意な人の業績評価が高くなる可能性だっていくらでもあるわけだ

先般、ある中央省庁で人事考課を取り入れるとのことで

職員の能力を A (業績を上げる人) 、 B (普通の人) 、 C (業績において他より劣る人) に分類したという

結果は A評定が 9割以上であったとのこと

この結果は 当たり前といえば当たり前である

なぜなら国家公務員試験上級に合格するような人は、皆きわめて優秀なのだから、差などつくわけがない
人事担当官はそんなこと 百も承知で、 「役所だって能力主義です」 というポーズを示したいだけなのだろうかと、つい勘ぐってしまう

一般企業だって

入社に際して厳しい就職試験があるはずで、会社が適任と選んだ人が雇用されているわけだから、社員間に能力の差がそれほどあるとは考えられない

きっと適材適所の配属になっていない人が能力を発揮できないだけのことで、これは会社の人事に責任があり、責任転嫁もいいところだ


「成果主義」 の欠点は

「好成績を残す」 ことが、社員の全ての価値観になってしまい、他人を蹴落としてでも、あるいは陥れてでも、自分の成果を残そうとすることに尽きる
そして、業績を積んでキャリヤを作れば、会社にとって 「有望」 のはずのその社員は、結局、今よりも好待遇の ライバル会社に移ったりもする

すなわち

成果主義を重視しすぎる会社の社員は 「会社のために頑張る」 気持ちなど微塵もない

社員同士はある意味敵であるから団結力など生まれるはずもなく、たとえばチームによる商品開発などは成功しないだろう
だから長期的視野に立てばそんな会社はいずれ立ち行かなくなる

かつて

僕の勤務していた病院や、その近隣の大病院で、勤務医師の勤務評定をしたことがある
評価項目は多岐にわたったが、中心となるのは各医師の売上高であった
しかし、この評価法はすぐに躓いた

なぜか

医師の売り上げは、材料費や、医療行為をおこなうに当たっての医療技術職員や看護師の人件費、電気光熱費を差し引いた純利益を医師ごとに計算することなど不可能に近かったからだ

当然、保険点数の高い透析担当の医師が群を抜く売り上げを記録した

例の近隣の大病院では

このような理不尽な評価を受け入れない医師達が大量に辞職してしまった
収益アップを目指そうとして 「成果主義」 を掲げたつもりの病院長は、結果としてとんだ失態をさらけ出したことになり、責任をとって辞任した


従来の年功序列式の

ゆるい家族的雰囲気のもとでは確かに業績は低迷するかもしれない

改善案としては

人の業務遂行能力を評価するのではなく、チームとしての能力を評価する
そして、組織の構成員が自分の所属する組織に対する愛着を持つことができるような組織作りをすることが最も重要ではないだろうか


戦国時代の日本

信長は能力のある武将には、その出自を問わず領地を与えて大名に取り立てる一方で、子飼いの重臣といえども使用価値のなくなった武将をあたかもモノのように捨てた

信長の家臣たちは

信長の理想実現のために戦ったのでなくて、自身の版図拡大のために戦った
これはアバンギャルドな信長の考えたまぎれもなく現代の 「成果主義」 に他ならない
だから、最強無敵に見えた織田軍団は、信長の暗殺という形で終焉をむかえた

いっぽうで

家臣たちが領地獲得などという個人の利益をあまり考えず、 「おやかた様のため」 という目的で一枚岩となった 武田軍団や 上杉軍団は、中世最強の組織となった

たとえが適切でなかったかもしれないが

「成果主義」 の問題点を考えるのには少し参考になるかもしれない

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