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No.391 医療費はどこへ消えた?

2015/07/10

昔、「チーズはどこに消えた?」

という本が ベストセラーになったことがある

今回の タイトルはそれを パクッてみた

国民医療費が急増していることに対して

政府は躍起になってこれを抑え込もうとしている姿勢が見える
国家の財政収支が厳しい現今、まんざら理解できないでもない

それでは、医療費は ドブに捨てるようなものなのだろうか?

答は 「否」 である

少し考えればわかることだが、医療費とは次の総計である

  1. 医療関係者の人件費
  2. 材料費 (注射器、カテーテル、ペースメーカーなど)
  3. 医療機器関連費用 (X線装置、CT、MRI、血液自動分析機、超音波装置の購入・メンテナンスなど)
  4. 薬剤費
  5. 水道、光熱費、設備費用 など

1.によって医療関連職員の雇用が成り立ち、 2.~ 4.は納入業者やメーカーに利潤をもたらし、利潤は従業員に分配されるし、 5.も最終的には被雇者に分配される

つまり、医療費は決して ドブに捨てているのではなくて

医療は一つの市場を形成していて、裾野の広い産業の一つと考えることもできる
こうして国家や国民の支払う医療費は市場に流通するから、チーズのように食べたら消えてしまうようなものでは決してない

すなわち医療は政府のいう 「内需」 そのものである

これを拡大して、一体何が悪いのだろうか?

産業は国民生活を向上させ

生活を便利にすることによって人の可処分時間を増やす

これに対して医療は、病気の人を健康に戻すことにより、その人が再び生産活動に携わり、再び消費活動に携わることができるようにするという、生産活動である

国民がいなければ、国家が成立しない

国民は 国家の宝であり、国民が 国家そのものであることを忘れないでもらいたいと 思う

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