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No.422 人の器

2016/01/13

「小さいポットは すぐ沸く」 という外国の諺は

器が小さい人は 些細なことで腹を立てるということで、 「人の器の大小」 をはかることは、世界共通のようである

さて、 「器の大きい人」 というと、どんな人物を想像するだろうか?

  • 小さいことにこだわらず、決して怒らず、他人には寛容である
  • 人を悪く思うとか 悪口を言うとかしない、他人に嫉妬しない
  • 失敗を恐れず大胆な決断をする
  • 失敗してもくよくよ後悔しない
  • たいていは寡黙で、本音や、思ったことを口にしない
  • 嬉しいことがあっても あまり喜んだ素振りをしないし 悲しいことがあっても泰然としている

だいたいこんな イメージであると思う
このような タイプの人は、きっとあなたの周りにもいるはず

もっとも、仕事での顔は 「器が大きい」 人でも、家庭での顔はそうでない人もいるし、逆の人もきっといる


「器が大きい人には 人がついてくる」

などと しばしば言われるから、器が大きいことは いいことなのだろうかと考えた

組織の指導者や長にとっては、 「器が大きいこと」 は 恐らく重要な必要条件だろう

しかし、 「器の大きな人」 は、身近な人として付き合うのには 面白くない人かもしれない

人間は 感情的な動物であるから 本音トークを好む傾向が強い

それなのに、喜怒哀楽がなく、本音を口にせず、他者を批判せず ・ ・ ・ ・ ・
これでは 面白くないのは当然である

「器の大きな人」 本人は きっと楽である

人を批判しないから 余計な軋轢はないし、本音を言わなくて良いから 心の内は誰にもわからない


人は 年齢を重ねると 器が大きくなる傾向がある

若いとき血気盛んであっても、歳を経ることによって 経験から他人との余計な軋轢を避けることを学び、自分の行動が あとに引き起こすであろう結果を予測できるようになるから 軽はずみな行動を慎むようになる
「大人になる」 という意味は 「器が大きくなる」 ということなのかも知れぬ

あるいは、歳を取ることで 感情が鈍感になって、些細なことで腹が立たなくなる状態を 「器が大きい」 と言うのかも知れず、これは 老化現象の一つとも思う

僕は けっこう歳を重ねて来たのだが

残念ながら いつまで経っても 「器が大きい」 とは決して言いがたい状態が続いている
「臆病」 というわけではないのだが、冒頭に述べた条件を満たしているとは とても言えないからである

先日 「ホンマでっかTV」 という バラエティー番組で、ある心理学者が

「即断する人は 器が小さい」
「なぜなら、決断を後回しにして じっくり考えるという 心の余裕がないということだから」
といった内容を述べていた
バラエティー番組だから、これが ホンマかどうかは怪しいが、確かに僕は 即断即決する傾向が強いから、もしかしたら当たっている

訓練で器が大きくなるのならありがたいのだが、そうではないらしい

開き直って、こんな器で生きてゆくと決めた

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