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No.423 TPPのゆくえ

2016/01/26

TPP = 環太平洋戦略的経済連携協定は

もともと、 シンガポール、 ブルネイ、 ニュージーランド、 チリの 4カ国で 2006年に発効した
これに アメリカが参加を表明し、それにともなって オーストラリア、 ベトナム、 ペルー、 マレーシア、 カナダ、 日本が 参加交渉を続け、各国の利害が相反する場面が多いため 協議は難航する場面もあったけれど、ようやく妥結に向かうことが決まった

「関税を撤廃して協定国の貿易 ・ 交流を活性化しよう」

これが 協定の建前ではあるが、その内容をみると、現時点では アメリカにとって有利な内容ばかりが目立つ

経済アナリストの 森永卓郎氏は

「戦時中、日本が ”大東亜共栄圏” を目指したが、今回は アメリカが盟主となった ”大東亜共栄圏” に近い」 といった内容の発言をしている
つまり、単純に 経済協力などの協定とは異なり、多分に 軍事的役割の強い協定の可能性を はらんでいる
勿論、対するは 中国であることは 各界が指摘するところである

したがって、米国の同盟国たる日本が 参加しないわけには どうしてもいかないのだった

たとえ 日本の農業が大打撃を受けようと、加盟するしか 選択枝はなかった
だから 「TPPは 日本にとってメリットがあるか」 という議論は 無意味なのであり、生産業者にとっては TPPの メリットなど、どこにもない


逆に、立場をかえて、消費者から見れば

生産国に拘泥しなければ、外国産の商品を 安い価格で手に入れることができるわけで、所得が上昇したと同じ効果が得られ、生活は やや豊かになるから メリットは大きい



TPPで 関税が撤廃される品目や、関税撤廃までの日程は 品物によって異なるが

概していうと、輸入品目である 酪農 ・ 農産物は早く、輸出品目である 輸送用機器 (トラックなど) は 30年も先に 関税が完全撤廃されるので、始めに 農業経営が危機を迎え、やっと 30年後には 自動車輸出が好機を迎えるということになる

まず 安い外国産の酪農 ・ 農産物が 日本の市場に流入するから

日本の農産物は 価格競争に勝てず、生産農家は 廃業に追い込まれるケースも増加すると ささやかれるが、これも農産物の品目により異なる
海外の農産物が 必ずしも安価なわけではないし、品質も異なる
特に林檎は、価格面でも 品質面でも 日本に勝るものは 海外にはなく、TPPの影響を 最も受けにくい農産物といわれている
コメも現時点では、ほとんど影響を受けないようだ

しかるに 酪農に関しては

本州では 生乳生産、北海道が 加工乳製品を供給するという 現在の体制では、まず 北海道の酪農者が 危機に直面する
消費者は 安い商品を購入するから、価格競争に勝てない国内生産者は 減少していき、日本の、ただでさえ低い食料自給率は、激減し、有事には 危機的な状況が生まれる

これを防ぐため

政府は 打撃を受ける生産者に 国費を投じて金銭的補償をするつもりらしいが、これでは 何のための TPPかわからなくなってしまう
酪農に関しては 国内製品の コストダウンをはかるべく 技術開発を早急にする必要がある



以上は 最悪のシナリオであるが、 「ピンチは チャンス」 と言う言葉がある

安い製品が外国で作られるなら、日本で もっと低価格 ・ 高品質な農産物を作れば良いだけの話である
うまくすれば、無関税の輸出だって可能になるはずだ

しかるに 外国産の農産物が低価格なのは

広大な土地や 効率の良い生産をしているからであり、高齢者中心に 細々と生産する日本の事情とは 根本から異なる
極端な話、たとえ TPPに参加しなくても 農業従事者の減少や、そもそも 少子高齢化によって 日本の農業は 今のままでは衰退する運命にある

「TPP参加」 という 「好機」 は

「農業生産の方法論の刷新が 求められている」 と解釈すべきであると思う

従来の 自然のもとで作物を育てる効率の悪い方法を一転させ、

管理された最適な気象環境条件のもと 作物を栽培する、 「工場による農産物の生産」 を推進することによって、若年者の雇用も確保できるし、生産コストに占める人件費の割合が少なければ 大幅なコストダウンも可能になることだろう
工場生産では 気候に左右されない メリットもあり、さらに 農薬を使わないので、安全な野菜が供給できる

「安全でおいしい農産物」 には

付加価値がつくから 高値で輸出することができるし、それを求める層は 日本を含めて海外にも 必ず存在する

これも、農業生産方法の刷新の 一例である

広大な土地に恵まれていない我が国ではあるが、技術大国の日本である
これくらいのことができないでどうする

ちなみに 野菜工場事業を展開する スプレッド社は

現在 すでに京都亀岡市に レタスを生産する工場を稼動させていて、日に 約 2万個の レタスを市場に供給しているが、 2017年には 新たな完全自動化野菜製造工場を稼動させる計画で、工場が完成すれば 年間 1090万個の レタスを供給できるという

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