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No.425 医学論文考

2016/02/15

ながらく沈黙を守ってきた 小保方晴子氏が 反撃に出た

講談社から 「あの日」 という タイトルで 手記を刊行したのだ
何でも 現時点で 200万部以上が売れていると聞く
まずは 小保方氏の 逆転勝ち といったところか

僕は 読んでみようとも思わないが、 「自分は 理研上層部に操られた被害者だ」 といった趣旨であると聞く

この手記の 内容の真実はともかく

ねつ造論文が、いったん世に出てしまったことは 事実である

世の中には 本当かどうかわからないような論文が 一流の学術誌に掲載されることなど山ほどある



このあいだ、7~8年前の切り抜き資料を廃棄しようとして整理していた時のこと

恐らく、何かの講演に使えると思って とっておいたものなのだろう
まさに、事実か否かを確かめようのないような、しかし、タイトルは 結構刺激的かつ、一般受けするような医学論文が たくさん出てきた

その一部を紹介する

  1. 白血球数増加群では 癌死亡率が高く、アスピリン連用者では 死亡率が低い
  2. レモネードが 腎臓結石予防に有効
  3. 赤ワイン成分が 老化を遅らせる可能性がある
  4. 低脂肪食では 癌または 循環器疾患のリスクが 減少しない可能性がある
  5. 低脂肪完全菜食で、 2型糖尿病の 血糖値と 脂質コントロールが 改善する
  6. 寝ぼけている時は 徹夜明けよりも 知的能力が低い
  7. 高齢者の 抗コリン作動薬使用は 軽度認知障害の診断に役立つ
  8. 兄弟が多いと 胃癌発癌率が 2倍以上になる
  9. スタチン (コレステロール低下薬) 使用高血圧患者は 血圧コントロールが良好
  10. 関節リウマチ患者の 尿酸値と 心血管疾患リスクは 関連する
  11. 糖尿病の知識を有していることは 糖尿病の予後を改善しない
  12. コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて 2型糖尿病の発症リスクが 60%低い
  13. 睡眠不足は 肥満や 糖尿病の リスクを上昇させる
  14. 開業医の血糖値管理は 糖尿病専門医より良好である
  15. サラダと調理野菜の多量摂取で 2型糖尿病の 発症リスクが低下する

このような、医学関係者以外でも飛びつきたくなるような タイトルの論文が、 「一流」 と呼ばれる 医学雑誌に載っているのである

これらは 実験的データではなく

単なる断面研究に過ぎず、 「考察」 も、結局は ただの推論に過ぎない
恐らく、結論を導くために、集めたデータの改竄も あったことだろう
兎に角、いずれも 今では見向きもされなくなったような内容であるが、当時は センセーショナルに 受け止められたということだ

しかし、これは 昔話ではない

今だって、この手の論文は 医学雑誌に掲載される
その裏には、 「真実を 追究しよう」 という 純粋な探究心ではなく 「論文を書くこと自体が目的」 との心理が働いた論文が多いという事実がある


いかにもありそうなことや、常識とは真逆のことを 論文という形で発表することは、一部の研究者達の 密かな楽しみなのかもしれない

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