ホーム > Dr.ブログ > No.433 資本社会主義

  • 救急の場合
  • 診療時間
  • 面会時間
  • 人間ドック
  • フロアマップ
  • 川口正展のなるほどザ・メディスン
  • Dr.ブログ

No.433 資本社会主義

2016/04/19

大企業が業績を伸ばす中で、国民の経済格差が ますます拡大している日本

ピケティの 「 21世紀の資本」 では、経済格差を解消するために 富裕層の持つ資産を分配するべきだと 論じているらしい (僕はあんな分厚くて文字が小さくて高価な本は読んでいないから間違っていたらごめんなさい) が、ピケティー理論は 「資本主義経済のもとでは 全世界が これを実現する必要があり 実現不可能である」 と 一般には受け止められているとも言われる
しかし、本当に 実現不可能だろうか? と考えてみた

現在の 「先進国」 が

資本主義経済で 経済大国になっていったことから、 「少なくても 今までは」 資本主義経済が 正しかったことは 事実であろう

しかし、その弊害としての

経済格差、貧困層の拡大などが 問題になっていることを考えると、従来の資本主義は もう制度疲労ならぬ 「主義疲労」 をきたしていると 僕は考える

そこで 「資本社会主義」 という 新しい概念を思い浮かべてみた

資本主義を根底とはするが、富の配分は偏らないような制度を設計するのが 資本社会主義である

たとえば、○○株式会社の CEO

仮に A氏に 100億の年収があるとする
では A氏個人が 年収 100億円分の仕事をしているか、といえば そうではない
A氏の会社の 数万人の従業員が おのおの努力して稼ぎ出した収益の総額から A氏は 100億円を支給される
従業員の平均年収が 500万円として、 2000倍もの年収を得るということは、どのように考えてみても 不公平といわざるを得ない
個人で 人の 2000倍の仕事ができるわけがないのだから

だから 100億円支給されれば

ぜいぜい 3000万円くらいは A氏の元に残し、残りは 税として国庫に入れればよいのだ
人は いくら贅沢をしたところで 年間 100億は使えないし、それを元手に 財産を増やしたところで、一生に使う金額には 限りがある

27年度確定申告分から

所得税の最高税率が 40%から 45%に引き上げられたが、何と 生ぬるいことだろうか
所得税率は、所得に応じて段階的に きめ細かく増加するように設計するべきであり、最高税率は 99%でも よいのではないだろうか
先ほどの A氏は それでも 1億円は 手元に残るのだから

こうして国庫に増える財源を

ベーシックインカムなどにより、現在激増中の ワーキングプアの補填に使う

さて、この方法で 労働意欲が削がれるだろうか

そんなことはない
A氏は たとえ手取り 3000万円であったとしても 恐らく同じ働き方をする
その職責に 魅力を感じているから


さて、一生懸命働いても 年収 200万円しかない B氏には同額、すなわち 200万円を補填する

このことで B氏が 働く意欲をなくすとは思えない
B氏は きっともっと働いて 年収のアップを目指すことだろう


これは 社会主義の考え方に限りなく近い

しかし、現在でもすでに 「日本は 世界で 最も成功した社会主義」 と評されているように、税収で 医療、 介護、 生活保護などの社会保障をまかなっている

しかし、財源が底をついていて、それらは 破綻寸前である

政府目標である 基礎的財政収支を黒字にすることなど、いくら成長戦略を推進したところで 速効性があるわけもなく、平たく言えば 税率をアップすることしかないのだ
現在足りないのは 大富豪からの 税の徴収に手をつけていないところなのだ

日本国全収入の 25%を、上位 2%の富裕層が占めている現実を考えれば

税制改革のターゲットは 小金持ちではなく、まずは 大富豪とするべきであろう

 |