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chap.005 偽痛風

2014/11/12

痛風は比較的よく知られている病気ですが

偽痛風は一般にはあまり知られていないと思います

両者は関節炎という観点では類似していますが、原因も、症状も、治療も、全く違う病気です

偽痛風は

50歳以上に多く、 45歳から 85歳の間で 10年ごとに倍増するとの研究結果があり、一般的に高齢者の病気と考えてよいでしょう

症状は

熱発、そして膝や肘や手の関節の腫れと痛みです
いっぽう、痛風は足の親指の付け根の部分の痛みと腫れが主症状です

偽痛風の発熱は 38度台のことが多く

血液検査では炎症の指標である CRPが 10~ 20程度まで上昇するので、肺炎や敗血症など、重篤な感染症と紛らわしく、医師は熱発の鑑別として、必ず偽痛風を念頭に置きます

「入院患者さんが突然熱発し、肺炎、尿路感染症を疑って検査してもその所見が全くないので困っていたら、実は偽痛風であった」

などということは病棟では決してめずらしくありません

確定診断は

腫れている関節から関節液を少し採取して偏光顕微鏡で観察することにより ピロリン酸カルシウムの結晶を確認することです

また、腫れている関節の単純X線写真で関節内軟骨 (メニスカス) の石灰化がみられれば、偽痛風の可能性が高くなり、関節穿刺ができない時の代用診断として役立ちます
しかし、メニスカスの石灰化=偽痛風ではないので、注意が必要です
特に手関節の場合は メニスカス石灰化の感度、特異度は、ともに低いとされています

偽痛風の治療には

消炎鎮痛薬 (ロキソプロフェンなどの解熱薬) を使います
消炎鎮痛薬を開始すると、速やかに平熱となり、 CRPも速やかに陰性化します
消炎鎮痛薬を一定期間使用し、その後中止しても、不思議と症状はおさまったままと言う場合がほとんどです

偽痛風の原因は

関節液内の ピロリン酸カルシウムの沈着ですが、いっぽう痛風の原因は、尿酸結晶の関節液中への析出です

ピロリン酸カルシウムが

なぜ高齢者の関節液中に出て来るのか詳細は不明ですが、利尿薬などの使用により、血中の マグネシウムが不足することがひとつの原因と考えられています

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