- 今シーズンはワクチンの有効でない株が流行している
- ワクチン接種の有効期間は 1シーズンもたないから、接種の時期を遅らせる
- そもそもインフルエンザワクチンそのものに、有効性が証明されていない
- ワクチン接種をしなくたって、インフルエンザに罹ったことがない人達がいる
- B型インフルエンザはタミフルが効かない
- 熱発してすぐに検査をすると、インフルエンザであっても陽性に出ない
- 解熱剤など使わないで、カッと熱を出すと早く治る
インフルエンザの季節になると、巷にはこのような噂が飛び交います
今年はインフルエンザの流行が早く始まりました
例年 1月頃から増え始め、 2月をピークに漸減して行きます
通常はノロウイルス性胃腸炎が 11月頃から流行し始め、そのピークを過ぎた頃から、インフルエンザが流行することが多かったのですが、今シーズンは、まだノロウイルス性胃腸炎はあまり流行していません
そこで今回は、よくある都市伝説の 1.~ 7.について説明します
- インフルエンザワクチンを接種した人もインフルエンザに罹っているのが現実であり、これはインフルエンザワクチンによって十分に抗体が産生されなかったか、ワクチンが流行株にマッチしていなかったかのどちらかです
一般的にワクチン製造に用いるインフルエンザウイルス株は、次シーズンに流行するであろう株を選び、鶏卵で培養して製造する工程を取りますが、ウイルスを鶏卵で培養する間に抗原性の変異を起こすことがあり、その場合、シーズン流行型を阻止できないワクチンができてしまいます
この場合は、平たく言えば、 「今シーズンのワクチンは効かなかった」 ということになります。
しかし、毎年、培養中の抗原変異を起こしにくい株を選ぶ努力はされているので、インフルエンザワクチンは、一般的には有効と考えていいでしょう。
なお、今シーズンの流行株の抗原性は、ワクチンの抗原性とよく一致しており、ワクチンを接種した人はインフルエンザに罹りにくいと思います。
- ワクチンの有効期間ですが、 1~ 2ヶ月なんてことはなく、半年は有効であるとされています
- インフルエンザワクチンの有効性そのものは証明されています。
しかし、ワクチンの製造過程でワクチンと流行株の不一致が生じることもあり、また、毎年、流行株は 1種類ではないので、ワクチンの抗原性と異なるウイルスに感染すれば発病します。
- 「インフルエンザに一度も罹ったことがない」 という人はいます。
また、逆に、毎年インフルエンザに罹る人もいます。
これは、その人の免疫力の違いによるものと思われます。
- 日本は世界で一番タミフルを処方している国です
そのため、タミフルに対する耐性ウイルスが出現するのは当然といえば当然で、現に A型インフルエンザで、 タミフルや 注射薬のラピアクタが効かない例も徐々に増えてきました。
特に B型インフルエンザで、この傾向が強いとされています。
- 確かに、最初の熱発から 10時間程度して、ウイルス量がある程度増加した状態で検査しないとインフルエンザ迅速検出キットでは陽性と出ません
すなわち、ごく早期のインフルエンザは診断できない場合があります。
なお、最近、富士フイルム社が開発した銀増幅技術を使ったインフルエンザウイルス検出法は高感度で、ごく早期のインフルエンザを診断することが可能ということです。
- 少し前の時代は抗インフルエンザ薬などありませんでした
インフルエンザウイルスは、体温の上昇により増殖できなくなるため、生体は自然防御機能として、発熱物質を作り、熱発が起きます
ですから、日頃健康な若い人の場合、解熱剤など使わず、数日の発熱を我慢すれば、自然治癒するというわけです
さて、ワクチン以外の方法でインフルエンザウイルスを撃退する方法はないものでしょうか?
例えば、お出かけ前に、鼻腔にスプレーするだけで、インフルエンザウイルスの侵入をシャットアウトする噴霧薬が開発されると良いと思います
ただし、欧米では、弱毒生ワクチンを鼻腔に塗る予防法が認可されていて
ワクチンは鼻腔で、免疫グロブリンである IgAを生産させ、インフルエンザウイルスの気道への侵入を防ぎます
ただし、弱毒とはいえ、生ワクチンですから、免疫力の低下した人ではワクチンによってインフルエンザが発症してしまう可能性があり、日本では導入されていません
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