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chap.018 菊池病

2015/10/29

聞き慣れない病名かもしれませんが

これは、 1972年に菊池昌弘教授らによって報告された、高熱と 後頚部リンパ節の腫脹を主症状とする疾患です
「組織球性壊死性リンパ節炎( HNL )」とも呼ばれるので、少し怖いイメージがあるのですが、基本的には良性疾患です

症状は

ある日 突然の熱発に始まり、首の一方の リンパ節 (稀に両方) が腫れて痛み、熱は 一ヶ月以上 下がらないこともあります
頚部リンパ節の腫脹が最も多いのですが、時に 脇の下の リンパ節が腫れて痛み、腕が上がらなくなることもあります
リンパ節が腫れることでは共通していますが、中には 熱発がない例、関節痛や 皮疹が見られる症例があるとされています

診断に リンパ節生検を要する場合もありますが、

一般には 臨床症状と経過、検査所見などから診断します
検査では 末梢白血球数の減少、血沈亢進などが多いとされていますが、症例によって異なることが多く、類似の症状を示す他疾患との鑑別が重要となります
具体的には、伝染性単核球症、全身性エリテマトーデス、結核性リンパ節炎、悪性リンパ腫などと鑑別しなければなりません
(菊池病の 3%程度が 全身性エリテマトーデスに移行するとの報告あり 2013)

治療は

非ステロイド系消炎鎮痛薬の内服が主となりますが、プレドニゾロンなどの ステロイド薬は 劇的に症状を改善します

この疾患の原因については

現時点で特定には至っていませんが、各種の ウイルス感染が関係しているという報告があり、特定の ウイルスが原因ではなさそうです

青壮年の発症が多く、女性に多いとされていますが、私が診た症例 (今まで 4例) は 全員が 青壮年の男性でした

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