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chap.027 胸痛喘息

2016/07/01

症例 : 32歳 女性
主訴 : 上胸部の 締めつけるような痛みが 1日中続く

このような患者さんを診る場合、まず 第一に 心臓疾患を 疑うことになりますが、気管支喘息の 亜型として 「胸痛喘息」 という 病態があることも 念頭に置かなければなりません

事実 この患者さんは

いくつかの医療機関を 受診して、 検査を行い、 「肋間神経痛」、 「心臓神経症」、 「異型狭心症」 など と診断されています
しかし、 鎮痛薬、 精神安定薬や ニトログリセリン製剤を 投与されても 症状が 改善しませんでした



そこで、スパイロメトリー (呼吸機能検査) を実施したところ

フローボリューム曲線が 上気道閉塞パターンを示していました
これは 胸痛喘息 (chest pain variant asthma) の サインです
胸痛喘息は、気管や 比較的太い気管支の れん縮が 病因と考えられています

そこで 一般の喘息の治療薬である

β2刺激薬を 吸入していただいたところ、痛みは 完全に消えました


「咳喘息」 は

症状が 「ぜーぜー音を伴わない 空咳だけ」 という 喘息の 亜型で、最近増加している 印象がありますが、 「胸痛喘息」も 症状は 胸骨下部の 激しい痛み、背中の痛み、頭痛など で、喘息特有の 呼吸音は 聞かれません
(通常の 喘息発作は 末梢気管支の れん縮であるため 喘鳴が 聞こえるのですが、胸痛喘息は 狭窄の部位が異なるため 喘鳴が 聞かれないようです)


この疾患概念は 1973年の Farrらによる報告が最初ですから

けっこう昔から 知られているにもかかわらず、日本の教科書には あまり記載がなく、正しく診断されないままの ケースも 多いのではないかと考えられています

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