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No.024 ドクターY と ドクターMの物語

2011/02/21

Dr.Yはアラサーの美人医師で、3人の子持ちである

3人の子供が、悔しいことに、これまた実に可愛い
Yのご主人は、腕のいい消化器内科医で、
日焼けした甘いマスクの、これぞイケメンといった、しかも、とても感じの良い人だ

子供たちが可愛いのは当たり前か

一方、Dr.Mは、花の独身、イケメン(?)の青年医師

余談だが、「青年医師」の響きはカッコいいが、
「中年医師」と聞くと、しょぼくれた印象で、カッコ悪いのは何故だろう

中年を差別するな!と言いたい(誰に?)

勿論、僕はその中年にも入れず、
れっきとした老年医師だが

Yがまだ研修医だった頃、
僕の担当する学生講義の時、
ちょこちょこと、僕の後ろからついてきて、
教室でスライド係をしていたのを思い出す
その時は
「おとなしい研修医だな」
くらいにしか思っていなかった

まさか、ずっと後になって、
一緒に仕事をすることになるとは思いもよらなかった

YがK病院に赴任して、僕のYに対するイメージは、がらりと変わった

関西育ちのYは明るい性格で、
笑顔が絶えることはなく、
会話やジョークのテンポが絶妙、
何より判断が早く、診療上で悩んでいる姿など見た事がない

白衣と髪をなびかせ、颯爽と歩き去る、やや長身の後姿は、やけにカッコ良い

循環器内科を専攻していたと言うだけあって、カテ好き
思い切りが良く、救急患者の治療はいつも見事だ

要領が良いのか、頭が良いのか、その両方なのか、
とにかく仕事は速く、5時15分の定時には必ず帰宅する

Yは僕のことをいつも 「師」 と強調するのだが、
その割に、僕との会話はすべて タメ
僕に対して敬語を使うのを一度も聞いたことがない

まあ、そんなことはどうでもいい
敬語なんて Yには全然似つかわしくない、不自然

さて、Dr.Mは、天下のT大卒業後

医学部に入り直した秀才で、じっくり考えて行動するタイプ
どんな場面でも、決して感情的になったりしない、大人だ

僕は、仕事が終ると、ほぼ毎日のようにMを飲みに連れ出した
彼は、たとえ疲れていようとも、僕の誘いを断らず「きくや」に付き合ってくれる

僕は呑み、Mはよく食べた
そして、定席となった「きくや」のカウンターの左隅では、日々、あらゆる話題が議論された

Mは若いのにチャラっ気は全然なくて、しっかりした意見を持っている
若者言葉
「まじっすか?」
は、よく発していたけれど

(ちなみに、彼は僕に対して、一応敬語を使う。Yとは違って)

ブランド好きというわけではないが、本当に良い物を知っていて、身に着けている

僕は、日々の診療で行き詰った時、YやMにしばしば相談をした

別に正解を期待しているわけではないが、彼らは、必ずや、何かいいことを言う


M は論理的に、そして Y は直感で

これを聞くのが僕の楽しみだった

男女雇用均等法が施行された現代、女性医師は大変だ

家庭を守り、家事をし、子育て、親類づきあいなどなど、
それだけでも多忙な上、子育ては大変で、子供はしょっちゅう熱を出す
なのに、男性医師と同等の仕事内容を要求されるのが常だ

Yは、妊娠と出産と子育てを繰り返しながら、
けなげに、さりげなく、見事に仕事をこなした

この Yと Mとが

僕が K病院残留を決めた際行動を共にして残留してくれた2人である

性格も行動も、全く対象的な2人が、
僕を慕ってくれていて、
落ち込んだ時も、常に精神的な支えとなってくれたからこそ、
あの困難な時期を乗り越えることができたのだと思っている

僕は、この2人に本当に感謝している

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