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No.027 病院はサービス業?

2011/03/15

病院はサービス業であるといわれる

ここで言うサービスとは、職員の接遇とか、施設環境とか、医療の質とかをさす
確かに医療関係はサービス業、すなわち三次産業に分類されている

三次産業とは、食物や工業製品など有形のものを生産しない産業すべてのことである
しかし、三次産業をサービス業と呼ぶ所に、そもそもの誤解が生じる

医療というサービスを提供することによって、
料金をいただく施設である病院はサービス業だが、
そこで働く医師や他の医療職はサービス業と呼ぶのになじまない

専門職である
公認会計士や一級建築士が専門職であると同じように

これに関しては、
医師自身も市民も勘違いしている面があり

今でも症例検討会や学会発表で
「患者様は・・・」
などと発言する医師だっている

また、
「予約時刻になっても診察してもらえないで待たされた」
「何のための予約だ」
とか
「重症の患者の順番を先にされた」
と、お叱りを受ける場面も多い

病院は料理店に似ていると思う

サービス業である料理店(店員)は客に最大のサービスをするが、
料理は厨房において、職人である料理人が作る

いくら店員が丁寧でも出される料理がまずければ客足は遠のく

病院で言えば、さしずめ、医師が料理人といったところか

いくら受け付け係が丁寧でも、いくら案内係が親切でも、
医師の診療態度や診療内容がお粗末では患者は納得しない


医療の内容が大切なのである

しかし、病院が料理店と決定的に違う所がある

それは、医師は、患者と直接対面することによって病気を治療するという点であろう

だから、客(患者)は医師の診療態度に評価を下す

医者は病気を癒す職人であると同時に、
患者の心を癒す存在であるべきことは誰もが指摘することである

しかし、そのバランスがむずかしい

やさしい、いつも笑顔の医師が

本当に自分のためになる医師なのだろうか?

技量に自信のある医師は

職人としての誇りを持ち、
患者が治ればいいわけで、
愛想を振りまく必要がないためか、
無愛想だったりすることもある

逆に、腕に自信がない医師が

自らの力量不足をカバーするために、
患者にやたら丁寧でやさしいということだってある

僕は過去に4種類の局麻の手術を受けた

幸い、すべて大病ではなかった

ある腰麻の手術の際、
僕の主治医は手術の手技、
予後などについて簡明、
的確に説明した後、
入院診療計画書に「3週間の入院」と書いた

この主治医は、特に愛想が良いというわけでもなく、
かと言って、ぶっきらぼうでもなく、
ただ淡々と、必要なことを、図に書いて説明した
僕が質問すれば、笑顔はないが、それに対して的確に答えてくれた

術後はけっこうな痛みが続き、
本当に計画書どおり3週間で退院できるのだろうかと不安に思った

しかし、結果はと言うと、ちょうど3週間で退院することができた

この入院で感じたのは

医師は、確実な治療結果を出すことこそが、
必要かつ十分な条件である
ということで、
それ以上も期待しないし、
それ以下でも困るということである、変に丁寧に接してくれなくてもいいのだ

愛想がなくったって、
患者に冷たいわけではなく、
患者のことを考えるから、
確実な結果を出すのだろうと考えている

しかし、えてして言えることは

受付係や案内係の言葉使いや態度が、丁寧でなかったり、親切でない病院は、
診療内容(医師などの技量)もお粗末である場合が多いということだ

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