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No.032 新学期

2011/04/04

今シーズンのインフルエンザ

A型が、昨年12月から今年2月にかけて、B型が、3月に流行した
4月に入って、下火となったとは言え、まだB型インフルエンザの患者さんは来る

あれだけワクチン接種が広まったというのに

今シーズンも相変わらず、インフルエンザの患者さんは多かった

ワクチンが、あまり有効でないのだろうか?

そこで、今シーズンは、インフルエンザ患者さんに、ワクチン歴の有無を聞いてみた

結果

インフルエンザの患者さんのうち、ワクチンを接種していなかった人が9割程度であった
しかし、ワクチンを接種した人も、確かにいた

つまり、ワクチンを打っても、完全に予防ができるわけではないということだ

ワクチン接種をすると

体内には、インフルエンザウイルスに対する
「抗体」
ができる
この抗体が、インフルエンザウイルスを撃退してくれる

きっと、この抗体の量が、少ない人がいるのではないだろうか?
こういった人がウイルスに侵入されると、インフルエンザを発症してしまう

と、いろいろ考えながら、インフルエンザの患者さんの診療をしていた

かつては、インフルエンザの症状の特徴といえば

何の前触れもなく、突然の熱発で始まり、少し遅れて、咽頭痛、鼻汁、咳といった感冒症状が出るといった順序とされていた

しかし、最近のインフルエンザは、必ずしも、このセオリーどおりでない
咽頭痛、微熱で始まり、咳が出るようになり、やがて高熱が出て筋肉痛、関節痛、頭痛、だるさが出て、受診し、インフルエンザであることが判明する人が多いのだ

特にB型インフルエンザではこの形が多いように思う

インフルエンザが変わってきたのか?

きっと、そうではないだろう

インフルエンザ迅速診断用のキットを診察室で使うようになって、インフルエンザが正確に診断できるようになったことが理由のような気がする

つまり、キットがなかった時代は、突然の熱発で始まる感冒だけを、インフルエンザと推定していたに過ぎなかった

かつては

「咽頭痛、微熱で始まり、咳が出るようになり、やがて高熱が出る」
ものは、インフルエンザでなく「普通感冒」と診断していただけのことではないだろうか

抗インフルエンザウイルス薬がない時代は、そんな診断でも、たいして支障はなかった

今、症状の発症する順序など関係なく

高熱で受診する人は、ほとんどがインフルエンザ診断キットでAかBが陽性と出る

要するに、インフルエンザ流行期に、健康な成人が高熱を出せば、インフルエンザである蓋然性が極めて高いことだけが真実なのだろう

抗インフルエンザ薬が数種類使用可能な現代、インフルエンザ診断キットの意義は大きい

インフルエンザと診断されたある患者さんが

「明日、入試です」
と言った
受験できただろうか?
あのワーストコンディションで合格できただろうか?

そこで考えた

日本では、なぜ4月に新学期が始まるのか?

欧米のように、9月ではいけないのか?

日本では、4月入学に備えて

2月、3月の寒い時期に入学試験がある

この季節は、インフルエンザが流行したり、大雪で交通に支障が出たり、決して入学試験には適していない時期といえる

入学試験の日に、運悪くインフルエンザにかかり、本来の実力が発揮できないで不合格となったことで、人生が一変することだってある

4月を新学期と定めた理由に明確なものはない

  • 会計年度が4月から始まることに合わせた
  • 明治時代、軍隊の入隊時期が4月で、これに合わせた
  • 桜の季節だから

など、いろいろな説があるらしい

ちなみに世界の国々の新学期はさまざまで、それなりに理由がある

多くのヨーロッパ諸国や中央アジア、中国、アメリカ、カナダは9月、タイは6月、インドネシアは7月、ドイツと、お隣の韓国は1月といった具合と聞く

秋に新学期が始まる国が多い理由は、作物の収穫時期が終り、時間的余裕ができるからとのことらしい

4月の国は日本くらいかも知れない

ちなみに、会計年度も各国により異なり

1-12月制、4-3月制、、7-6月制、10-9月制など、さまざまで、必ずしも、会計年度の開始時期と新学期は一致していない

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