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No.062 コレステロール

2011/08/11

  1. 高血圧
  2. LDLコレステロール値が高い
  3. 血糖値が高い 

これは、動脈硬化の三大促進因子である

若い時代は、自分が 1.2.3.の遺伝情報を有していても、ほとんどの人は、これらの値は正常である

しかし、年齢を重ねると共に、 1.から3.の人の割合は、増加する

ただし、 1.から3.関連の遺伝子を持っていない人は、たとえ運動不足でも、乱れた食生活でも、何歳になっても、これらの値は正常のままである

天は不公平である

中年になって、ある時、定期健診で 1.から3.が発覚したとする

でも 自分が高血圧症になったとは認めたくない
自分のコレステロール値や血糖値が 高くなってしまったことも認めたくない
それが、人情というものだ

「 まだまだ自分は若い 」、 「 健康だ 」、 と思いたい
しかし、現実はシビアだ
数値にしっかりと表れる

「 このまま放置すれば動脈硬化が進みますよ 」

このような医師の説明では、 「 動脈が硬くなるだけなら別に ・ ・ ・ 」、 と思う受診者
しかし、 「 動脈硬化 」 とは、 「 動脈が詰まりやすくなる 」 と同義なのだ
閉塞しやすい動脈は、心臓の冠動脈、脳の動脈
つまり、心筋梗塞、脳梗塞を起こすということ

コレステロール値を例に取ろう

最近では 「総コレステロール」 ではなく、いわゆる 「悪玉コレステロール」、すなわち LDLコレステロールの高値が、心筋梗塞などの心疾患の危険因子とされている

LDLコレステロール値が基準値より、少し高い場合、下げるべきか、下げなくても大したことは起きないのか
これが実際に明確でないから、健診受診者も、医師も悩む

統計的には LDLコレステロール値が低いと

心筋梗塞の起きる率は低いし、その逆も、しかりということは確定してるようだ
「 コレステロール値は、低ければ低いほど良い 」 などと発言する、偉い学者すらいる

しかし、もともと日本人は欧米人と異なり心筋梗塞が少ない民族である
だから、仮に X氏が、高LDLコレステロールを放置した場合でも、心筋梗塞が必ず起きるわけではない

コレステロール値を下げる薬(スタチン系)を服用すれば

確実に LDLコレステロール値は下がる
でも、仮に X氏が、真面目にスタチン系の服用を続けても、彼が心筋梗塞を起こさないという保障もない

よくある質問

「 コレステロールを下げる薬を飲み始めたら、一生飲まなければならないんですよね 」
答えは、「 その通り 」 である

この時の僕の答え

「 近視の人は眼鏡をかけている間だけ、物がはっきり見えますよね 」
つまり、めがねやコンタクトレンズで近視が治癒するわけではないことが言いたいのだ

スタチン系は、めがねと同じ、服用している間だけコレステロール値が下がる
だから結局、一生服用しなければ、意味が無いことを理解して欲しいわけだ

次によくある質問

「 運動したり、食事に気をつけたら下がりますよね 」
答えは、「微妙」 である

コレステロール値が運動で下がるというエビデンスはない
ただし、運動をすればHDLコレステロールーいわゆる善玉コレステロールーは上がる

食事に関しては

各個人が、どんな理想的な食事を、どれくらいの期間続ければ、コレステロール値が下がるか?
また、下がる程度はどれくらいか?
一生その食事を続けなければならないのか?

これらに関しては、誰も知らない

高LDLコレステロール血症は

無症状だけに、薬を飲むことに抵抗を感じる人は多い
だから、薬を飲むことのメリットとデメリットを説明して、あとは当人の選択に任せる他ないと思う

極めつけは

「 自分がこの値であれば必ず薬を飲みます 」、と私見を述べてみることだ
僕の本音である

なぜかというと、スタチン系は、すでに動脈にへばりついてしまっている、コレステロールを中心とした動脈硬化のもとを退縮(縮小)させる働きがある
また、スタチン系はコレステロールを下げる以外の機序で心筋梗塞の発症を抑えるとされている

もちろん、これらも、学者が言っていることだが、動脈硬化は、今や、頚動脈のエコー検査によって目で見ることができる時代であるから、疑うなら自分の目で、効果を確かめたら良いのだ

医学と無縁の話が続いたので

今回は、僕が日ごろ悩む状況を書いた次第です

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