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No.076 「ぴあ」の休刊とメディアシフト

2011/10/06

先日、 「ぴあ」 の休刊(実質は廃刊?)が報じられた

「ぴあ」 は39年間の歴史にピリオドを打った
イベント情報やら、街角情報などを満載して、毎号、個性豊かなデザインで表紙を飾ってきた伝統の雑誌がまた1つ消えた
原因が、読者数の減少によることは明らかだ
これは、近年の活字離れ、電子媒体依存傾向のためであろう

パソコン(PC)や、従来の折りたたみ式携帯電話さえも、すでにスマホ(スマートフォン)に、その座を奪われそうな勢いだ
ほとんどの情報は、 「ポケットに入るPC」 スマホで得られる

紙という媒体はもう無用の長物なのか?

今や確定申告だってPCで可能、読書も電子書籍で可能、百科事典はウィキペディアで十分、学術雑誌も電子版が普及し始めている
「記者会見」 の英語は、かつて 「プレス(=印刷メディア)カンファレンス」 だった
それが、今では 「ニュースカンファレンス」 に変わっている
将来 「書類」 という言葉は、きっと死語となる

紙を使用しなくなれば、自然保護になるか?

現状では、情報をネットで得たとしても、それを紙に出力することが多く、結局、まだ紙は必要であるが、紙の消費量は、恐らく減少する
自然保護に、少しは貢献するかもしれない

音楽媒体に目を移そう

今、日本では音楽CDの販売数が激減している
有名大規模CDショップさえ、店じまいするところが出てきた
つい最近まで、しばしばあった、 「ミリオンセラー」 は滅多になくなってしまった
SPレコード時代の昭和13年、国民の戦意高揚のために作られた 「見よ東海の空明けてー」 で始まる、かの有名な、国民歌謡 「愛国行進曲」 が、蓄音機もさほど普及していない日本で、100万枚を売り上げたというのに、何と言うことだ!

人はCDを買う代わりに、音楽をダウンロードして、街中どこででもイアスピーカーで、また自宅のオーディオ装置に接続して、聴くようになった
約30年前、レコードにかわる、次世代の音楽媒体として華々しく登場したコンパクトディスクも、今や絶滅寸前である
すでに英国では、殆どの人が音楽をダウンロードにより聴いていて、CDは過去のものになってしまったと聞く

いずれ、日本からもCDは消え去るだろう

CDが消えるということは、CDショップのみならず、合成樹脂にアルミを蒸着したCD板を作る工場が不要となり、CDのプラスチックケースの製造が不要となり、CDの梱包、運送、ジャケットの印刷 等等様々な業種が不要となることを意味する

CDのみならず、新聞、書籍、雑誌などの活字媒体にしても、同じことが言える

新聞に目を向けてみよう

新聞には報道の迅速性が求められるから、朝刊の編集締め切り後、すぐに印刷に回し、出来上がった新聞を直ちに運送し、販売店が仕分けして、朝の4から5時頃までには、配達員が各戸に配り終えなければならない

新聞がもし、完全に電子化されれば、原稿締め切り時間は事実上なくなり、情報をリアルタイムにネット配信することになるだろう
読者は、より速く情報を得ることができ、自分の読みたい部分のみチェックすることも、通勤電車の中でスマホなどの機器を用いて記事を読むことも、他社の新聞を読み比べることだってできるだろう
しかも、印刷料金、紙代、流通に要する費用が不要となるので、より安価に新聞からの情報を得ることができるはずだ
読み終えた新聞紙の山の処分に困るなんてこともない

医学界においても

「電子版」 の専門雑誌は多くなり、投稿側、編集者側とも、簡略、迅速化が進んでいる
便利になる反面、雑誌や新聞の電子化により、紙や印刷のインク、さらに輸送や、新聞販売店、配達員は不要となるわけで、これらの製造業、運輸業の雇用も、さらにGDPも、その分減少する
つまり、今後、メディアのネット化が加速すれば、日本の製造業、サービス業は縮小を余儀なくされるだろう
日本経済に与える影響は結構大きいかも知れないが、これらの試算は見たことがない

電子媒体メディアは

双方向性のことも多く、紙の媒体にはない機能を有している
だから、今の流れからすると、究極、メディアは電子媒体だけになってしまうだろう

少し寂しいし、言いようのない危機感もある

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