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No.100 酒の功罪 その2

2011/12/22

その昔

SLセントラル病院に勤務していたころ、急性心筋梗塞を何例も経験した
そこで気づいたのは、心筋梗塞を起こす患者さんは、 「喫煙をして飲酒をしない」 人が圧倒的に多いということだった

確かに

アルコール摂取は、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロール値を上昇させる
このことが冠状動脈硬化を阻止しているのだろうと当時は勝手に考えていた
「だから酒は体に良いのだ」
「昔の人も、酒は百薬の長、と言ったではないか」
と、都合よく解釈して、自分は毎日、夜の街を飲み歩いた

(SLセントラル病院が、名古屋の夜の繁華街に位置していたから悪いのだ)

今は、 「酒は百薬の長」 ではないことがわかっている

にもかかわらず、日本においては、アルコール飲料の消費量が年々増加している
酒類の中でも、特にビールや発泡酒の売り上げが伸びているらしい
居酒屋の数が増えたからなのか、宣伝が効いているのか、ビール党が増えたのか、働く女性が増えたからか、その全部なのか

確かに

百害あって一利 (ほとんど) なしの喫煙に比べると、酒類はまだ、それでもましな方かもしれない
日に 20cc以下のエタノール摂取者は、全く飲まない人よりも健康 (長寿だったか?) であるというデータもあると聞いた覚えがある

会食では、酒で会話がはずみ、人と親しくなれる

重要な話、会談でも、酒席では結構まとまってしまうことだってある
お偉い方々が料亭などで密談するのには、それなりの訳があるのだ
酒の持つ、こういったメリットだって、重視するべきだろう

しかし、診察室では

僕は、酒好きな患者さんに、節酒や禁酒を勧める
すると、患者は言う
先生は飲まないんですか?

しまった!

痛いところを突かれた

「僕は飲むけど、あなたはだめです」 では、理屈が通らない

しかし、「実は飲みます」 と答える僕も馬鹿正直である

「僕も減らすから、一緒に減らしましょうよ」
とフォローするのが精一杯だ

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