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No.125 正岡昭先生のこと

2012/02/27

部屋の模様替えをしていたら

「あさきゆめみし」 と、タイトルが金文字で書かれた、ダークグリーンの本が出てきた

これは、正岡昭先生が、定年退官記念に出版されたエッセイ集である

当時、教授の定年退官時には

業績集を出版するのが一般的であり、その意味で、一風かわった、先生らしい試みであったと思う

正岡子規の家系のせいか

文学の素養も多分に持ち合わせ、在職時代から、雑誌や新聞など、色々な所にエッセイを掲載されていた
それをまとめたものが 「あさきゆめみし」 というわけだ

改めて読み返してみる

独特の視点から、色々なことが、さりげなく、多角的に論じられていて、読み応えがある一冊だ

僕の第三内科教員時代

正岡先生は呼吸器外科の教授であった
先生の風貌は、少しカールした、グレーシルバーの頭髪で、長身
まるで芸術家であった

それも其のはず

大阪大学交響楽団の指揮者を数年つとめられたこともある音楽家でもあり、ご自身でもピアノを弾く
何とも多彩、多趣味な人だ

僕が大学勤務していた、ある時

放射線科の教授選があり、選考委員をつとめていた先生と僕は、立候補者の中の一人に、浜松まで面会に行くことになった

その当時、僕は助手

正岡先生は、他教室の教授という立場であり、年齢も随分離れていたため、二人だけの、この小旅行では、少々緊張した
はたして、何を話したら良いものか

でも、そんな心配は杞憂だった

先生は、電車の中で、気さくに僕に話しかけて下さった
そして、二人はジャズ談義に花を咲かせ、とても楽しい時間が過ぎていったことを記憶している

医学を学んでから、また医師を続けながら

文学や芸術などの道に進む人は多い

  • 古くは森鴎外
  • 偉大な足跡を残した漫画家、手塚治虫
  • 整形外科医だった、渡辺淳一
  • Ai論で有名な作家、海堂尊
  • 映画監督の大森一樹
  • 九州大精神科名誉教授で、かつて、ザ・フォーク・クルセダーズ、ラジオのDJとしても活躍した北山修
  • 新進サックスプレーヤーの、浜崎航
  • 整形外科医でジャズ評論家の、小川隆夫
  • 精神科医で作家の、北杜夫や加賀乙彦
  • 内科医で、「阿弥陀堂だより」などの著作がある作家、南木佳士

など、数え上げたらきりがない

彼らは、一見医学とは関連のない分野で活躍する

しかし、よく考えてみると、作家も、映画監督も、音楽家も、漫画家も、職人芸の世界である

その点で

やはり 職人とも言える医師という職業と、どこか共通する
と僕は感じる

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