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No.126 新語

2012/03/01

「マジ」

若者言葉の代表格である
彼らは、 「これ、マジで超ヤバイっすよ」 などと使っている

程度が半端でない時に 「超」 、 「神」 などの接頭辞をつける
ヤバイは 「危険だ」 ではなく、とても自分の気に入ったことを強調する表現法だ

広末涼子が歌った 「MajiでKoiする 5秒前」 は

当時、若者の間で、一時的に流行した、 「MK5」 (マジで切れる 5秒前) をもじって作られたそうだ

年年の流行があるので

比較的ながく使われているものを思いつくまま羅列すると

  • 半端ない (半端でない)
  • めんどい (めんどうくさい) ・・・阿波弁の流用?
  • ピンクい (ピンク色をしている)
  • 違くて (違って) ・・・使っている人は昔からいたらしいが、文法は間違っている
  • リーマン (サラリーマン)
  • KY (空気が読めない)
  • MT (まさかの展開)
  • めっちゃ・・・関西弁の流用
  • うざい・・・多摩の方言 「うざったい」 の略?
  • よさげ (ちょっと良いように見える)
  • ~なくない?
  • 入っている (「あの人、天然入っている」)
  • ビミョー (微妙、どちらとも言えない むしろ弱い否定)
  • 無理! (拒絶する時)

この中で理解しにくいのが 「なくない?」

「あの子、かわいくなくない?」 は、可愛いのか、可愛くないのか、一体どっちだ!
おじさんにはわかりにくい

「真逆」 (まぎゃく)

遂に、いくつかの国語辞典にも掲載されるようになり、正式な日本語として認知されたようだ
事実、NHKは大河ドラマの、ある回の 「あらすじ」 解説で 「真逆」 を使っていた
真逆は、カメラマンの逆光に関する業界用語だったという説が有力で、これを、若者が使い始め、一般に広まったと考えられる

「ら抜き言葉」 が批判されるようになって久しいが

すでに若者だけでなく、全世代に広まっている
正しい日本語の 「食べられる」 は、可能、敬語、被食の 3つの意味があり、紛らわしいが 「食べれる」 と言えば、可能の意味しかない
したがって 「ら抜き言葉」 の方が、ある意味、合理的と指摘する人達もいる

今は、 「ら抜き言葉」 は、まだ正しい日本語ではないが、標準的な日本語として認知されるのは時間の問題だろう

言葉は生き物であるから

多くの人が使い出せば、それが正しい言葉として認知される

時代や社会背景により、新しい言葉はいくつも生まれ続けるだろうが、文法を無視した用法は、スラングにはなっても、正式な日本語に昇格し得ないだろう

現代はマスメディア網が進化し続けている

だから、誰かが創作した新語は、それが面白いものなら、あっと言う間に若者の間で広まる
その中で、広い年代層に広がり、使い続けられる言葉は、やがて定着して、 「正しい日本語」 となって行く

いつの時代でも30歳を超える世代は

新語や新表現を使わないとの調査結果があるという
それでは、なぜ、30歳未満の人だけが新語や新表現を創り、使うのだろうか?

20歳代までの多くの人は学校生活の延長線上にあり

群れの中の個人として生きていることが多い
同じ新語や造語を使い合うことは、同じ集団、同じ世代であることの安心感、連帯感、同類意識を強め、お互いの人間関係をより親密にする働きがあるのではないだろうか?

30歳という年齢が、人生の1つの転機だと僕は思う

30歳以上になると、徐々に集団から離れ、個人として生きるようになり、家庭を持ち、社会性も身について行く
自分よりも年齢や立場が上の人達とも交流を持つことが多くなる
だから、その人達の信頼を得るために、
他の人が使わないような言葉は使わないようにするのだろう

さて

若者言葉は今に始まったわけではなく、昔からあった
「君」
「僕」
「失敬」 などは
明治初期に、学生が使い出した言葉で、後になって一般に広まったという

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