2012/04/19
「筋がいい」 という言葉が使われるが、医者にも、 「筋の良し悪し」 がある
「センスの良し悪し」 と言い換えてもいい
内科では、 「卒後 3年経てば、筋の良し悪しがわかる」 と言われる
経験が浅くても、また経験していない症例であっても、見通すことができる
逆に、センスのあまり良くない医師は、卒後何年経っても、先を見通すことができない
同業者である医師が一番わかる
センスの良い医師は、常に新しいことを勉強するので、ますますそのセンスに磨きがかかる
要は、医師という職業に向いている、向いていないということなのだろう
「患者や病気を診ること」 が好きか、あるいは、そうではないかということなのだと思う
突然病院から呼び出されて患者を診に出かけることが大好きな医者はいない
時間外手当もつかない
しかし、それほど苦痛なことでもないはずだ
医師だって行政職などとして働く道もある
「職場として病院を選んだのなら当たり前のこと」 と割り切るから、やって行ける
深夜に起こされ、早々に着替え、雪の降りしきる中、車を運転して病院に駆けつけるなんてことは大変だ
しかし、深夜に病院からコールが来るということは、それだけ自分が頼りにされているということなのだと解釈すれば、それなりにモチベーションは上がる
そんな人は医師という職業に向いている
まず、症状に気づいて、医療機関を受診するべきか、否かを嗅ぎ分けるセンス
通院中なら、自分の担当医師を評価できるセンス
「こうしたら良いのでは?」 と、自分の治療に関して、僕の診療に、患者目線での意見を述べる人がいる
そして、それが結構、まとを得ていて、事実その通りにしたら、血糖値が下がったということもある
実にセンスのいい患者で、僕も助かる
その中で、自分と相性が合う医師を選ぶのも患者の権利
医師を評価するのも患者の権利
僕は医者としての技量のなさに、自分でもほとほと愛想が尽きていた
医者には向いていなかったんじゃないかと自問を繰り返していた
でも、自宅でいくら落ち込んでいても、病院に出勤するとテンションは上がる
昨日の入院患者がどうなっているのか、早く診に行きたい
きっと理想の 医師-患者関係が 出来上がるのだろう