2013/10/23
毎回、同じようなことばかりで恐縮です
しかし、今では、なぜかその傾向が、全く見られないのは有名な話だ
それどころか、マイコプラズマ感染症は通年性に発症している
だから、きっと全国でも同じく、マイコプラズマ感染症は多いはずだ
集団感染はあまりなく、感染力もインフルエンザほど強くないので、全国ニュースになっていないだけの話ではないだろうか
成書には 「発症時は通常の風邪と全く同じような症状で見分けがつかない」 とか、必ず書いてある
しかし、これは正確には誤りである
第一、論理的におかしい
一般に、抗菌薬が無効とされ、対症療法で対処することが多い
原因微生物には、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルスなどなど、ウイルスが多い
だから 「見分けがつかない」 のは当たり前の話だ
ちなみに、風邪症候群の起炎菌のうち、マイコプラズマとクラミドフィラには、ある種の抗菌薬が有効である
小難しい話はここまでにして
しかし、風邪症状で受診した人、全員に血液検査など、到底しない
「風邪」 とくくられて、心あるドクターなら 「風邪」 に抗生剤は処方しないから、消炎鎮痛薬だの、鎮咳薬だの、抗ヒスタミン薬だの対症療法で帰宅となる
こんな対症療法でも 「薬が効いて治った」 ように感じられる
しかし、もしもマイコプラズマ感染であった場合、頑固な空咳に (特に夜間) 1ヶ月ほど悩むこととなる
注意深く問診をすると、ピンと来ることが多い
これらはマイコプラズマ感染を強く示唆する
もちろん、高熱もある
血液検査をすると案の定、マイコプラズマ抗体 (+) と出る
抗菌薬 (ニューキノロン、ミノサイクリン、マクロライド系のいずれか) を処方に加える
こうすることで、症状は驚くほど早く収まり、抗菌薬を使わなかった場合、長く続くことになるであろう空咳は防止できる
「 60歳以上の人には、マイコプラズマ肺炎がほとんどない」
などと、いまだに書いてある
僕はこれ 正しくないと思う
これらの教科書的予断がマイコプラズマ抗体の検査をしない動機となり、結局見逃されて、 「高齢者のマイコプラズマ肺炎はない」 となるのではないだろうか
必ずマイコプラズマ抗体のチェックをすることにした
すると 60歳はおろか 80歳代以上でも、結構な数のマイコプラズマ肺炎があることを知った
エンピリカル (経験的) に用いられる抗菌薬は、細菌の細胞壁合成を阻害する、ペニシリン系やセフェム系とされている
しかるに、マイコプラズマは細胞壁を持たないから、これらの抗生物質は全く効かない
マイコプラズマ肺炎を頭から疑わないなら、エンピリカルに使用した抗菌薬が全く効かず、肺炎が重症化することだってありうるということだ