2014/02/14
一般の 「委託契約」 が 「完成」 を最終目的とするのに対して、 「準委任契約」 とは、物の完成ということが約束されていない
すなわち、医療契約とは 「受診患者を必ず健康状態に戻す」 と約束するものではないということだ
「助かるつもりで入院したのに死んでしまった」 ということもありうるし、これを許容せざるを得ない
ミスもなく、その時代の医療水準に見合った治療をしていることが必要条件であることはもちろんであるが
なお、医療以外の 「準委任契約」 としては、保守点検とか、企画設計などがあるという
だから医師は、現在の治療経過、患者の状況や今後の見通しなどについてこと細かく説明をする
特に、何か検査を実施した際は、結果が判明次第、それを伝えることが必要である
現今では アイシー( informed consent : IC )と言っている場合が多い
あえて訳せば 「情報を伝えた上での合意」 となる
因みに以前は 「ムンテラ」 などと言っていた
外科の場合は手術法を図示するなどして、また術後経過や起こりうる合併症、手術の成功の確率などを数字で示して済む場合が多いだろう
内科では、そもそも 「原因がわからず、症状があるから病名を特定する」 という入院も多い
だから、 「一体私は何という病気なのですか?」 と聞かれても、早い時期では回答できないこともある
その場合、検査結果から推定できるいくつかの鑑別診断を示すことくらいしかできない
しかし、治療法が 1つしかないのなら話は簡単
現実は、患者の年齢や意向を考慮に入れて治療法を決める
薬物には副作用がつきものだし、薬物に反応しにくい場合もある
これらは患者側の遺伝的要因によることも多いのだが、そんな場合は 2の手、 3の手を考えなければならない
いわば比較的 ICがしやすい疾患もあれば、専門用語を駆使しなければならない複雑な病気もある
もちろん、専門用語をわかりやすい日常語に置き換えて説明するのだが、疾患概念が一般の人には理解しがたいこともある
特に高齢者では多い
これには、偶然、別の疾患が併発してくることもあれば、原疾患の増悪もある
内科医はその都度、患者や、その家族に病状説明をすることになる
医者にとっては 「煩わしい」 と感じる人もいるかも知れない
実は医者の側にも大きなものがあると、常々僕は感じている
現状を患者やその家族に頻繁に伝えることは、ある意味、治療よりも大切なことかも知れない