2014/04/01
これまで、しばしばこの質問を受けた
もういい歳になってしまった僕に、さすがにこんな質問をする人は、今ではもういないが・・・
「勤務医はいつか開業するのが当たり前」
みたいな文化があったことは事実
また、僕の出身大学の卒業生は、開業医の子弟が多く、結局、親の医院のあとを継ぐ形で勤務医を辞めていった人も多い
「開業はいいぞ」
と、開業のメリットをさんざん解説してもらったこともある
僕が思うに、医者には開業医に向いている人と、不向きな人とがいる
僕は明らかに後者だ
だから開業を考えたことはない
スタート時から経営上のリスクは極めて少ない
しかるに僕の家は開業医ではなかったから、開業のリスクはそれなりにある
そんな医者だって、勇敢に開業していった人達も多い
そして彼らは、殆どが成功者になった
いや、むしろ、開業医の親を持たない、ゼロから始めた人のほうが、医院規模を拡充し、サテライトを作り、老人保健施設やリハビリセンターやデイケア施設を併設し、組織をグループ化して、 「大成功」 をおさめている
医院経営という財政的側面と、医療という学問的側面を両立させるほど器用でないから、開業には興味がない
そして、医療グループを拡大させて成功をおさめている人達を羨むこともない
僕が勤務していた、愛知県にある地域の中核病院 (仮に「 B病院」) の診療圏内には、約 80軒ほどの医院があった
医院からの紹介患者を入院治療して、元気になったらその医院に帰ってもらうことにより、開業医院と良好な関係を保っていた
開業医は入院患者を紹介してくれる 「お客様」 である
B病院から少し離れた所には、全ての診療機能をそろえた大病院がいくつもあったから、 「是非B病院に紹介して下さい」 ということになる
B病院と開業医の立場の違いがわかる
そう、開業医のほうがB病院よりも、立場が遥かに上なのだ
24名の医師を擁し、高度な医療をのぞいては、殆どの症例に対処できる体制であった
紹介してもらった患者の経過報告会を、開業医を迎えておこなっていた
軽食とドリンクのサービスつきで
ある分野では、近隣大規模病院のレベルに決して劣らないことをアピールしたりもした
これも、紹介患者数を保つ戦略であったことに他ならない
新院長は診療圏内にある 100軒近い開業医にいちいち出向き、就任挨拶をした
事務長とともに、手土産を持って
これも紹介患者を期待してのことである
こんな戦略が功を奏してか、 B病院の病棟は、紹介入院の患者が多かった
それに、飯綱病院自体が開業医の集まりみたいな面もあり、数軒の例外を除いては、近隣医院との連携はあまり実感しない
と、今、回顧する