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No.323 左わき腹の痛み・後編

2014/05/23

西澤の頭に 「アルピー (ALPE) 」 という病名がよぎった

彼は、自分でアルピーの患者を経験したわけではないが、同僚から聞いたことがある

アルピーとは、 「運動後急性腎不全」 の頭文字をとったものだ

若い男性が風邪薬などの消炎鎮痛薬を服用して激しい運動をすると発症することで有名で、一過性の腎障害機能低下が起き、人工透析を必要とする場合もある

腎性低尿酸血症の人に多いとされている

血液検査の結果が返ってきた

  • クレアチニン値 : 2.2 mg/dl
  • CPK : 926 IU/ml
  • 尿酸値 : 3 mg/dl

案の定

急性腎不全となっていて、クレアチニン値が上昇している割には尿酸値が低い


西澤は文献どおり、造影剤投与後 2日目に腎の単純CTを撮った

するとそこには左腎に楔状の造影剤残存が見られた
この所見は、疾患特異性が高く、西澤は、患者の痛みがアルピーであったと確証した

幸い、患者は人工透析を受けることなく、 2週間後には腎機能が正常化した


この疾患は、その存在を知らなければ診断できない

症状だけみれば、尿管結石と全く区別がつかない

かつて、同僚が、何かの機会に教えてくれた知識が役に立った

患者は

今後、風邪薬や痛み止めを服用している期間は、激しい運動をしないことを約束して、元気に退院していった

※ この物語は全くのフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありませが、医学的記述に関しては間違っていないはずです

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