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No.337 不眠

2014/08/05

人間、歳を取ってくると不眠に悩む人が多いようで

処方内容に睡眠薬が追加される
もっとも、患者さんは 「睡眠薬 」 という名称を嫌い、 「(精神)安定剤を出してください」 と言うことが多い

「睡眠薬ですね?」

「いや、安定剤です」

こういったやりとりが外来で繰り返される

これは、睡眠薬 (=癖になる?) を服用する、という行為に

患者さんが一種の罪悪感を抱いているからなのだろう
精神安定薬は、副作用としての催眠作用はあるが、あくまで睡眠薬ではない

「不眠」 の内容を詳しく訊ねると

人によってさまざまであることがわかる
その中で多いケースは

「夜 8時ごろ布団に入る、そして未明に目が覚める、午前 1時や 2時に目が覚めると、もう寝つかれなくて、夜明けまで、もんもんと夜を過ごす」
といったものである

言ってみれば、 「度を越した早寝早起き」

「なーんだ、ちゃんと 5、6時間は寝ているじゃないか」

と、こちらはつい思ってしまうのだが、本人にしてみれば、深夜から朝までの時間が辛いのだ

理屈では、就寝時刻を 22~ 23時にするとか

1時や 2時に目覚めて再度の入眠が困難であれば、夜が明けるまでの時間を有効に活用するとかすれば良い
人生の残り時間があまり残っていない年配者の深夜の 「もんもん」 は実にもったいない
活字、本でも読めばよいのである

しかし、それは若い者の考え方

僕も歳をとったが、まだぎりぎり高齢者の定義に入っていない年齢ゆえか、どうしても 「若い者」 の考え方しかできない

余談だが

今は長寿化が進み、どこからが高齢者なのか良く分からなくなってしまった

今後、高齢者が激増するにあたって、そろそろ呼称を変更する時期に来ている
今の定義では 65歳から 74歳までが前期高齢者、 75歳以上を後期高齢者としているが、 60歳を超えると、暦年齢と見た目年齢とが解離する人が多くなる
実際 75歳でも若々しい人は多い

そこで、 65~ 74歳を 「早期高齢者」 とし、新たに 75~ 84歳 「中核高齢者」 を設けたらどうだろうか
そして 85歳以上は 「長寿者」 と呼ぶことにする

呼称の変更だけで高年齢者のプライドは保たれるのではないだろうか

話を戻す

「高齢者」 の現実と言えば、夕食をとった後、特にすることもなく、結局のところ寝るしかないのかも知れない
また 1時、 2時に覚醒したとしても、ごそごそ起き出して何かを始めれば、同居人の迷惑になる場合もある
テレビやラジオを試聴するモチベーションもあまりなく、書籍を読むなども、眼が悪かったりして億劫だ
そこで、睡眠薬が必要となるのだろう

さて、学生時代から夜型であった僕は

今では 超朝方になってしまい、就寝時刻は午後 8時ごろ、起床は 2時から 3時ごろである
結局、高齢者の睡眠パタンとそっくりであることに気付いた

しかし、僕にとっては 2時から 5時が珠玉の時間で

人が寝静まっているであろう時間帯に、頭が冴え集中力が高まるから、短い時間で諸々のことをすることができる
ただし、この時間帯は、ちょうど、これも夜行性である、熊の活動時間帯と一致するので、コンビニへの外出は車が原則である

なお、人はいかなる年齢であっても

「自分の書斎」 を持っていることが大切であると思う
書斎などとかしこまったものでなくても良い
自分のデスクを持つことをお薦めする
机の前に座れば自然と活字を読み、文字を書くようになるはずだ


「度を越した早寝早起き」 には まだ対処できる方法があるとして

不眠には他に

  1. 入眠障害 (なかなか寝付かれない)
  2. 早期覚醒 ( 2時間程度寝て、目覚めるともう眠られない)

などもあり、これらに対しても睡眠導入薬は有効である

現在市場に出回っている睡眠導入薬は

昭和時代の睡眠薬とは異なり、 「癖になる」 とか、 「自殺目的に使える」 ようなものはなく、安全に使用できる
だから睡眠障害の型に合致した薬を上手に使うことで不眠の悩みから開放される

ただし、一般的に言えることとして

高齢者の必要睡眠時間は若年者よりも少ない
また朝の太陽の光を目に受けることによって、約 16時間後にはメラトニンという脳内ホルモンが増えて、これが夜の睡眠を誘発するという

だから、朝、太陽が昇る頃の散歩が、夜の心地よい眠気を誘う

眠れない人、一度試してみてください

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