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No.338 和食器

2014/08/12

飯綱病院から車で 10分くらい、林道を登り、別荘地を抜けると、霊仙寺湖に出る

今、この湖の畔で、夏恒例の 「陶器市」 が開催されている
ここでは全国の生産地から、さまざまな陶器が出展されていて、即売されている
僕は、かねてから和食器をさがしていたので、休日に、軽い気持ちで出かけて見ることにした

広い園地の一角にビニール天幕が張られ、産地ごとに、いくつかの店が出店している

皿、丼、花器、茶器など、所狭しと並べられている焼き物の中から、自分好みの品を見つけるのは楽しい

今回は料理を盛り立てる和食器をさがした

あれも欲しい、これも良いと、目移りして困ってしまう
特に、轆轤 (ろくろ) を使用しない不規則な形をした皿や器の中に惹かれるものが多い
手作りであるから、形も絵付けも釉薬 (ゆうやく) の微妙な色あいも、一品一品異なる

盛り付ける料理の色を想像しながら

「あの料理にはこれ」 といった具合に選択をしてゆくのだが、自分好みのものが多いので、結構多くの品を購入することになってしまう

ある店で、慎重に購入品を吟味していたら

店主から 「料理人ですか?」 と聞かれた

「えっ どうして?」 と思ったが、坊主頭のこの風貌と、真剣に品を選ぶ姿が彼をそう思わせたのだろうか
否定すると

「じゃあ、いつもきっと高級店で食べているんだ」
と言う

まあ、きっと彼なりのお世辞なのだろうけれど、正解な品をチョイスしていることを褒められているようで、ちょっと嬉しかった

食器以外にも、個性的な花器など、魅力に溢れる逸品があり

欲しかったが、予算の関係もあり、今回は見送ることとした

結局、この日は食器ばかり、 30点以上を購入してしまった


料理は、盛り付ける器の役割が極めて大きい

同じ料理でも、器によって旨くも不味くもなる

だから、高級料理店では、器に凝った物を使うのだ

旨い料理がさらに旨く感じるように

大きめの、趣味の良い器に、少量の料理を盛ることが基本である

あと、料理を照らし出す光も、明るいほうが旨み感を増す
要するに料理の味は、視覚によって半分以上が決まる

だから多くの料理店では採光に気を配っている

たとえば、カウンター割烹などでは、料理にスポットライトが当たるように工夫した店が多い


三十数個の陶器を家に持ち帰り、丁寧に洗って、1つずつ食器棚に並べた

これらを見ているだけで楽しくなる

ためしに、そのうちの一つに、切り干し大根の煮付けを盛り付けてみた

食卓のスポット照明の下で食する切り干し大根は、いつもの 2倍旨かった

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