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No.370 僕の少子高齢化論

2015/02/24

「少子化がいけないのではなくて、少子化+人口構成の高年齢化が問題である」

との議論が主流である

「今後、生産年齢の青壮年層が減り、団塊世代、団塊ジュニア世代が人口構成の多くを占めるから、年金、医療、福祉を支えきれない」

という論理である

これを、頭から信じている人が多いのは残念だ

少子高齢化に対して

政府のかかげる 「少子化対策」 は、いかにも情けない

姑息的な対策で人口が維持できるわけもなく、穿った見方をすれば、そんなこと、百も承知の政府が、国民に対して、パフォーマンスしているにすぎないようにも見える

国家の文明が成熟すると

少子化に向かうのは、全世界共通である
もっとも、米国だけは例外で、人口が増えているという
しかし、米国は多民族国家であり、かつての マイノリティーが マジョリティーになりつつあるから、 「文明が成熟した国」 とはとても言いがたい面がある


我が国では、まず、 60歳定年制度が問題である

政府は、企業に 65歳にまで定年を延長することを義務づけようとしているようだが、多くの企業では 60歳定年と同時に再任用として、あと 5年間雇用するという形を取る
再任用では給与が激減するから仕事に対するモチベーションも下がる
同じ仕事をして給与が下がるのは納得がいかないはずだ

日本は未だに年功序列制が横行し

年齢が上がると役職がつき、給与が上がるシステムだから、 50歳以上の人を雇用し続けると人件費がかさむ
だから、できることなら 60歳で辞めてもらいたいのが、雇用主の本音なのだ
「上が詰まっているから、下がポストにつけない」 などともいわれたりする

そもそも

年齢が上がれば役職がつき給与が上がるというシステムが良くない
入社後数年たてば、それなりの仕事ができる

そこで、入社後数年の社員も、 50歳超えの社員も、基本は同じ給与にするのが良いのではないだろうか
勿論、企業に対する寄与度に応じて上乗せされる部分は必要かも知れないが

次に

「役職がついても給与には反映されないシステム」 に改訂することが大切である
つまり、 「部長も、平社員も給与は同じ」 ということになるのが理想である

「上が辞めないとポストが空かない」

という考えも誤りである
ポストを与えられなくても、自分の仕事はできる
万年平社員だって良いではないか

「役職がなければモチベーションが下がる」 というのならば

いろいろな役職をどっさり作って、誰にも何かの役職を与えればよいだけの話だ
役職と給与を連動させなければ、たやすいことだ

このようにすれば

60歳を過ぎても、企業は継続して雇用することが可能となり、被雇用者の意欲さえあれば 70超えまで働くことができる

国家は

その間は年金を支給しなくてすむので、社会保障費の削減に繋がる
少子化によって若年労働者が減少する分は、熟年労働者が補えば良い

政府は

将来、少子化で労働人口が減ることの対策として、外国人労働者を受け入れる姿勢を示しているが、移民受け入れで苦労している諸外国を学ぶべきだ

移民増加は、日本が将来、他民族、多宗教国家になることを意味し、治安の悪化をはじめ、民族間の対立など種々の好ましくない困難な問題が続出する可能性だってあるからである

円も国外に流出するだろうし、外国人労働者を安い賃金で雇用することにも問題がある

ではどうすれば良いのか

今後、労働需要が飛躍的に増大するわけでもないので、外国人労働者を導入しなくても、定年を無期延長して、日本の高齢者を雇用すれば済むことである

我が国独特の

国民皆保険、先進医療のおかげもあり、一昔と違い、今の高齢者は元気である

65歳以上の 「高齢者」 をばかにしてはいけない

例えば、町内会のいろいろなイベント (草刈、定期的町内清掃など) に出てみると、 70~ 80歳代の人は、平気で、息切れもせず重量物を運び、てきぱきと、生き生きとして仕事を進めていく

僕の患者さんの中には 90歳で大工の棟梁をしている人もいる
長年、現役で農業に携わってきた人たちは年齢など感じさせないパワーを秘めているものだ

いっぽう、都市部では

サラリーマンが定年退職をすると、生き甲斐をなくし、急速に心身ともに老化して、病を得てしまうとは、よくある話だ

こんなサラリーマンでも

退職をずっと延長すれば、きっと、いつまでも生き生きと働き、心身ともに老いることもないので、病気にもならず、結果、医療費が抑制されることは必定である

生涯仕事があることこそが

健康寿命を伸ばす唯一無二の秘策であることは、長野県 (農業県) の健康寿命が、男性 6位、女性 17位であることからもわかる

もっとも 「健康寿命」 たるものの算定方法は、死亡診断書に基づく 「平均寿命」 の算定方法に比べて正確さを欠く面があるので、長野県はもっと健康寿命が長いのかも知れない

以上述べたような、雇用形態の根本的改善が

日本の経済や財務状態のこれからを活性化させると思うのだが ・ ・ ・

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