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No.372 自己評価

2015/03/11

人は意外に自分の姿を知らない

すなわち、人からどのように見られているかを知らない

自分の一日の行動をビデオに撮って観察する、などしない限り

たぶん客観的に自分を見ることはできない
そして、自分の考えている自分と、他者が見ている自分とは、少し~かなり異なっているはずである

僕は、幼いころ

テープレコーダーに録音した自分の声が、全く別の人の声に聞こえたのに衝撃を受けた
はじめは、テープレコーダーが壊れているのだと思った
これは、おそらく誰でも経験していることであろう

自分で聞いている自分の声は

頭蓋内の骨伝導と、耳から入る音とのミックスであるから、他者に聞こえている自分の声とは異なるのが当然である
すなわちテープレコーダーに録音された声が、他者が聞いている自分の声そのものである


くちゃくちゃと、音を立てて食事をする人がいる

子供の時に、親に注意されないと、大人になっても直らない
たぶん、自分では気付かない習慣なのだろうし、大人に対して注意してくれる他者はいないからである

子供の時にこの習慣を直すのに最適な方法は

鏡を前にして食事をさせ、食事のときに立てる音を録音して、あとで聞かせることだという

ビデオに自分の行動を録画することはなかなか実行できないが

せめて、ときどきは自分の会話を録音してみるとよい
自分の喋り方の特徴、会話内容、声のトーンなどがはっきりと分かる
そして、良くない部分を直せば効果的だ

自己評価は、人によってさまざまで

他者の評価よりも高い場合、低い場合がある
性格によるところも大きいが、自分を客観的に眺めることの難しさゆえである

高校時代

何かの授業で 「誰かさんからの手紙」 というものを書かされた記憶がある
差出人は無記名で、受け取り人を指定して、その人の印象を述べる手紙である
これは、自分の客観的評価がわかる機会となる

残念ながら、その時、自分がどのように書かれたかは、今となってはすっかり忘れた
しかし、教師も面白いことを考えついたものだと今でも思う
客観的に自分がどのように見られているのかを認識せよ、ということだったのだろう


たとえば、 「自分に厳しく、他者には寛大」

という人 (と、自己評価している人) がいる
これは理想の人間像かも知れない

しかし、待てよ、と僕は考えてしまう

自分に厳しい人は、本来、他者にも厳しさを求めるのではないか

とすると、 「他者には寛大」 というのは、他者をすでに見放している、あるいは、 「他者に自分が嫌な人だと思われたくない」 という保身ではないのか

まあ、そんなことはどうでも良い

自己評価の第一歩は、自撮りならぬ、自録りではないだろうか?

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