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No.409 官僚

2015/11/02

かつての 「国家公務員 上級甲種試験( I 種試験)」

今でいう 「国家公務員 総合職試験」 に合格して、かつ、中央省庁に採用されれば、いわゆる キャリヤ組の官僚になることができる
キャリヤ組は ノンキャリヤと比べると出世がきわめて早い
具体的にはすでに入省時から 「主任級」 として採用される

しかし、採用に至るまでの道は険しい

申し込みから 総合職試験に合格し、かつ採用される倍率は、平成 23年度の場合 57.19倍であった

では、毎年どれくらいの人数が 中央省庁に採用されるのだろうか

平成 23年度の データを見ると 最終合格者 1390人のうち採用されたのは 482人であった
しかも、このうち東京大学出身者が 207名で 全体の 44.3%を占め、京都大学を除く他大学は 1人から 10人程度が大多数である

それでは 「総合職」 と 「一般職」 の違いは何か?

規定によると

総合職とは
「政策の企画立案等の高度の知識、技術または経験を必要とする業務に従事する」

これに対して、一般職とは
「事務処理等の定型的業務に従事する」

となっていて、現実には 総合職 (キャリヤ) が官僚の中での エリートコースを歩き、最高ポストが 事務次官であるのに対して、一般職で合格した人で 課長級まで出世する人は、ごく稀という

全国の 国家公務員 約 30万人のうち、キャリヤ組は 1万 5千人程度

総合職試験の教養問題では、データ解析など、数字を重視した、難度の高い問題が出題される
すなわち、これに合格した、優秀な頭脳を持つ ごく一握りの人達によって日本の政策は 立案され、実行されている

「政府が政策を立案し、議会承認を得て政策を実行している」

というのはあくまで建前であって、恐らく、大部分の政策は キャリヤ官僚の手によって 立案され、議会を通過してゆく

かつてある政党が 「脱官僚」 と声高に叫んだのは

そんな日本の政治システムに違和感を抱いたからなのだろうが、選挙で当選しただけの 「一般人」 である政治家が、政策の プロ集団である キャリヤ官僚に太刀打ちできるはずもなく、この言葉は虚しく聞こえた

  • 集団的自衛権の問題
  • TPP交渉
  • 消費税軽減税率導入の問題
  • 増加する医療費に対する方策
  • 年金問題
  • マイナンバー制度

これら、近年、加速する感のある、日本国民にとってきわめて重要な制度の導入は

良い悪いは別として、恐らくすべて キャリヤ組官僚の書いた筋書きによって進行しているのであろう

国民の手の全く届かない所で

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