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No.444 権力

2016/07/21

ある有名な政治家が、インタヴューアの質問に対して、こう即答した

「権力ですね」

たしか、そのときの質問の 要旨は

「政治家は、政治家であることの魅力が 何であると考えているのですか?」
というようなものと 記憶している
僕が予測した答えは 「日本を 住みよい良い国にするために 少しでも役に立つ仕事ができるから」
的な 模範回答だったから 意外な本音トークに驚いた

無論 すべての政治家や 政治家を志す人達が

権力を欲しているわけではないだろうが、多くの政治家の本音は 「権威や 権力を手にすることに 魅力を感じている」 のだろう

権力とは

自分の考えで 人や 組織を動かせるということであり、ヒトが 権力を欲しがるのは 全世界、どの時代も 共通だろう


個人的な意見ではあるが

現在放映中の 大河ドラマ 「真田丸」 は おもしろい
妻は めったに大河ドラマを見ない女だが、彼女さえ 今回は視ている

派手な合戦シーンも殆どない このドラマで

一体 何が そんなに 視聴者を惹き付けるかと考えれば、今までの大河ドラマでは あまり描かれてこなかった、一族の生き残りをかけた 複雑な 権力闘争に明け暮れる 戦国武将達の生き様を わかり易く描いてみせているところではないかと 僕は思う

戦国の世、槍働きが評価される時代とはいえ

武者達は 自らの生死をかけた戦闘を むやみに好んだわけではなかったはずだ
当時の権力者達は、おのれの知力を尽くして 外交交渉、 裏取引、 懐柔、 調略、 諜略 などの手段を駆使することによって、兵員のロスを 最小限に抑えるいくさをして 版図を広げることに 時に成功、時に失敗した

権力者達は

自分の意思決定で 将兵が動き、自分の書いた筋書きどおりに事が進んだ結末を見るのが 何よりの喜びであったのでであろう


最近、某都知事の辞任劇があった

地方自治体の首長という立場は 一国会議員の立場と比べて、ある意味、はるかに大きな権力を有する
たとえば 首長には 地方自治法に基づく 専決処分を行う権限があり、議決を経ずして 自らの考えで 社会の仕組みを変えることだって可能である

今回 騒動になった M氏の場合

当初は 周辺には 諌める人もいたはずだろうが、権力を与えられた者は 一般に在任期間が長くなるほど その権力は大きくなる
大きな権力を手にしている人に 意見できる勇気のある人は そうそういない
皆、自分の身が かわいいからである
このようにして 権力者は 独裁者に 変貌してゆくことになる

たとえは悪いが

かの ヒトラーだって 一介の政治家であった時代と、第三帝国総統になってからとでは 周囲の扱いが 激変したはずで、狂気の大虐殺を 誰も止めることができなかった

現代では

「 1人の権力者の独裁」 は 建前では ありえない制度になっている
しかし、現実は 決して建前どおりでないことを M氏が露呈して見せてくれた

事実、いくら建設的な意見であっても

トップの意向に反するような提言をする社員は めったにいない
「だまっているのが 得策」
これが 日本人の文化、民度なのであるから 仕方ない
このことが 「独裁者」 を はぐくんでいると思うのは 僕の偏見かも知れないが、反面、独裁者的権力者がいてこそ、物事が うまく運ぶこともあるというのも 皮肉な事実ではある

時代は異なるものの 戦国武将の権力者は 独裁者が成功している

戦国時代、独裁者となった人は 「独裁者に 上り詰めるだけの 器量と 知力」 を有する人だけだったから 当然といえば当然の帰結だった

時代は下って 民主主義を掲げる日本

法治国家でありながら、実質的独裁者は あちこちに存在する

恐らく、彼の 器量、 知力にかかわらず

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