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No.451 夏の終わり

2016/09/12

「夏の終わり」 という表現が しばしば使われる

しかし、他の季節には 「 ・ ・ の終り」 という表現を あまり聞いたことがない
(ただし、 「冬の終り」 という表現は、つらい時期が やっと終った時などに 使われることもあるが)

春の終りが いつか はっきりしない間に 夏に移行しているし、秋の終りが わからぬまま 雪がちらつくようになって 冬を知る

ところが、あんなに暑かった 夏も、 9月中旬にもなれば 急に 朝晩は冷え込み、昼は 秋風が吹き 空は 一段と高くなる
特に、ここ北信地方での 「秋感」 は はっきりしている
ススキが なびき、稲穂が 金色に輝き出すと、僕は 明確に 秋を実感する


日本には 四季があるが

我々の 感覚としては 暖期(春 ・ 夏) と 寒期(秋 ・ 冬) しか ないのかも知れない
事実、服飾関係では 「秋 冬 物」、 「春 夏 物」 などと 使われる
「夏の終り」は、暖期の終りであり、ある種の 寂寥感が漂うから、きっと 好んで使われるのだろう


人生は 春 夏 秋 冬 の 色に喩えられる

青春時代は 春であり、年齢で言えば 16歳から 30歳代前半

壮年期は 夏であり、 30代後半から 50歳代中ごろまでで、 「朱夏」 と 呼ぶらしい

定年退職を迎えるころは 秋であり、 「白秋」
秋の色は 白なのだ

老後は 冬、 「玄冬」 といい、色は 黒
達人のことを 玄人、 「くろうと」 と 呼ぶのに 通じるのだろうか?

青春と 壮年の境は 明確でなくて

定年退職を迎える年齢になって 人は、はじめて 「人生の暖期」 の終り、すなわち 「夏の終り」 を知る

「定年退職後」 と 「老後」 とは

しばしば 同義にも使われるから、まさに 「秋 冬 物」 である

負け惜しみか、自虐か、はたまた 無駄な 励ましか 慰めか

「これからが 本当の人生だ」
などと 言ってみたり 言われたりする
しかし、 「玄冬」 の 本当の意味は 「腹を くくる時期」 ということだと 僕は思う
たとえ 何が起ころうと、うろたえず 泰然としていなければならない 年齢なのだ

自分が 社会から必要とされなくなるということは 寂しいことかも知れないが

逆に 社会 (職場) に 制約されないで生活できる、すなわち 自由度が増すということは けっこう楽なことと 考えればよい
それでも 好きに生きればよいのだから

「秋 冬 物」 は どのショップでも れっきとした看板商品であるが

人の 「秋 冬 物」 にも 社会的ニーズがある
それは 介護関連施設や、介護商品制作会社の雇用を確保するという とても大きな ニーズである

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