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No.452 数字の魔力

2016/09/21

人は 数字の持つ 魔力に弱い

たとえば、人は きっちりとした数字を 信じる傾向がある
CMでは、 「使った人の 約 9割が 満足しています」

よりも

「 92.1%の人が 満足しています」
とやったほうが 信憑性を感じる
むろん、少し考えれば、その出典は怪しく、適当な数字を 使ってみたに過ぎないことは わかるのだが

決算書を 見て

並びたてられた 細かい数字を見れば 人は それを 真実と思う
どこかに 粉飾があっても、監査人すら 容易には 気付かないから、あちら こちらで 事件が起きる

新薬の 開発データー (有効率、副作用発現率など)

数字で 出ていれば それなりの 信憑性を持つが、真偽の程は どれほどか、実のところは 謎である

会議、 討論、 講演では

小数点を含む 数字を出すことが 説得力を増す
たとえ 口から出まかせでも 「厚労省の データでは 国民の 23.4%の人が ・ ・ ・ 」 と やれば、その出典など 誰も気にもとめないで 素直に 受け止められてしまう


「グラフ化 体重法」 という 減量方法がある

これは、特段の ダイエットをしないで、単に 日々の体重を グラフ化するだけで 痩せることができる というものである

痩せたい人なら、当然 グラフが 下降することを 願うから

明日の体重が 少しでも 少なく出るように、知らぬ間に 運動量を 増やしたり、食事摂取量を 減らしたり するのだろう
そして、どんどん 減量が 進むことになる
これも 数字の 魔力である

営業部員の 営業成績を 数字で示す職場は きっと多いだろう

営業では 契約数や 金額が 大きいほど 良いとされ 評価されるのだから、自分の数字 (パフォーマンス) を 知ることで、来月は もっと数字を 上げようという 意欲が生じるという 心理を 応用している
たとえ、その数字が 直接 昇給や 昇進に つながらなくてもよいのだ
昨月よりも 今月の数字が 良ければ、来月は もっと頑張ろうという 動機となる
要するに 自己満足の世界と いっても良い

第二次世界大戦中

各国には 「撃墜王」 と 呼ばれる 飛行機乗りたちがいた
日本では 岩本徹三、 西澤広義、 坂井三郎 などが 有名であり、彼らは 文字通り 命をかけた空戦で 多くの敵機を 撃墜した (岩本 202機、 西澤 86機、坂井 64機)
もっとも 彼らは 撃墜数に拘泥していたというよりも、撃墜の達成感に 満足していたと いわれるが、数字も ある程度の 励みになったことは きっと事実であろう

医療現場に 目を移せば

例えば 血糖値コントロールの指標である HbA1c値は 毎回、小数点つきの 数字で 伝えられる
もちろん 数字は 小さいほど良いので、例えば ある月に 7.2であった人が、同じ量の治療薬服用で 次の月に 6.9に 下がっていたとする
(彼女) は きっと 何か 努力を したのであろう
「 6.9に 下がりました」 と 告げるだけで、次の月には HbA1cが さらに 下がっている、といったことは 多い

やはり、物事を 正確な 数字で 表現することには 大きな意味がある

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