ホーム > 川口正展のなるほどザ・メディスン > chap.022 CTによる健診
2016/02/24
「年に 1度、胸部レントゲン写真を撮っていて、精密検査の通知が来なかったら 肺癌は 安心だ」
などと 考えていませんか?
肺結核に関しては 「中蔓延国」 という 決して自慢できる状況には ないので、 「結核健診」 として、毎年 胸部X線写真を撮ることが 各自治体では 行われています
肺結核は、年に一度の X線健診で、ある程度は 拾い上げることができるからです
年一度の X線写真撮影では、早期発見することは まず困難と 考えてよいでしょう
ある程度の大きさの肺癌ならば 胸部 X線写真に写りますが、この時は すでに進行癌となっていることが多く、完治することが 難しいのが 現状です
早期の 肺癌は 無症状ですから、健診 あるいは ドックで 積極的に見つける努力をしなければ 発見できません
できれば 年一度の CT健診が 望ましいと 思われます
これまで当院では 高分解能 CTによって 単純写真では わからなかった早期肺癌を 幾例も発見していて、それらの患者さんは 簡単な手術で完治し、術前術後の 抗癌剤使用を必要とせず、もう何年も 元気で 外来に通院していらっしゃいます
肺癌は、既に 治る病気に なったのです
しかし、最近、 CTの 性能が 向上したため、上級の機種を使用した場合、胸部であれば 従来の 1/10程度の 被曝量です
これは 胸部レントゲン写真 1~ 2枚程度の 被曝量と 同じであり、もともと 胸部単純レントゲン写真の X線被曝量は、空から降ってくる 自然放射線程度の 少ないものですから ごく僅かな X線被曝量で 鮮明な CT画像が 得られるようになったことは 画期的な出来事であるわけです
単純 X線写真では 見えなかった 小さな円形の スリガラス様の陰影が 写ることがあります
これが、早期肺癌の 可能性が高い陰影です
どんな悪性腫瘍でも同じですが、早期のうちに治療することによって 遠隔転移を起こさないで 完治に導くことが 可能になります
今回の機種で 胸部を撮影すると、 X線被曝量は 従来の 1/10程度でありながら、鮮明な画像が得られます
一つは、心臓の 冠動脈を 写し出すことです (CT冠動脈造影)
狭心症を思わせる症状があった場合、心臓カテーテル検査をする前に CTによる 冠動脈造影実施することにより、心臓カテーテル検査が 必要であるのか否かが わかります
従来、大腸内視鏡検査は 受診者にとって 結構肉体的負担の大きい検査でしたが、 CTによる バーチャル内視鏡検査は、通常のように 腹部の CTを撮像するだけで、大腸の内部の画像を 得ることができ、大腸に 直接内視鏡を入れなくて良いので、随分楽です
むろん、バーチャル内視鏡の結果、ポリープなどが見つかれば、改めて 内視鏡検査をする必要はあります
オプションとして、これらの、 CTを使った さまざまな検査が 可能ですので、興味のあるかたは、どうか お気軽に 担当職員に お問い合わせ下さい