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chap.031 微小血管狭心症

2016/11/01

2010年に 日本循環器学会が公表した

「循環器領域における 性差医療に関する ガイドライン」 に 初めて登場する 病名です
ですから、一般には まだ あまり知られていないと 思いますが、決して 稀な疾患ではありません

狭心症ですから 「胸の 締め付けられるような痛み」 が 突然出現します

しかし、微小血管狭心症には、一般の狭心症と異なり、ニトログリセリンが効きません
ニトログリセリンは 比較的 内径の大きな血管を 拡張させるために 狭心症発作を 改善しますが、微小血管狭心症は 100μm以下の 毛髪程度の 細い血管の 攣縮が 原因であるため、同じ 狭心症でも ニトログリセリンは 効かないのです

症状も 一般の狭心症と 少し異なり

時には 狭心痛が 半日以上続いたり、 背部痛、 呼吸困難、 吐き気、 胃痛、 顎や喉の痛み 耳の後部などへの 放散痛、 動悸 など 多彩であるため、ますます 診断を 混乱させます
ただし、発作中の 心電図では T波の陰性化、 ST低下 など 虚血性変化が 見られます


さて、この疾患は 女性に多く

特に 40代後半から 50代前半に 起きやすいことが 知られています
そうです、いわゆる 更年期に 多く発症するわけであり、原因は エストロゲンの減少ではないかと 考えられています

発症する時刻にも特徴があり、夜 睡眠中に 多く起きます

同じく 安静時狭心症として有名な 冠攣縮型狭心症が 男性に多く、かつ 朝に 発作が多いのとは 随分異なります


病態について まだ 十分に研究されていないため

治療法も 定まっていませんが、冠攣縮性狭心症と同じく、カルシウム拮抗薬が 有効です

そして、この疾患で 生命に関わるような事態に及ぶことはないようですが

多彩な症状ゆえに、どの診療所や 病院でも 診断がつかないまま 苦しんでいる人が 多いのではないかと 推測されています

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