ホーム > 川口正展のなるほどザ・メディスン > chap.028 ペットから うつる病気
2016/08/03
近年では 犬 ・ 猫 合わせて 2000万頭を超えると推計されています
しかし、 犬、 猫から どんな病気が うつるのかを 知っている人はあまり多くないと思います
余談ですが、国内飼育数推計では 犬が漸減し、反対に 猫は漸増しています
「犬 ・ 猫 回虫症」 が 有名で、内臓移行型と 眼移行型とがあります
犬から排出された 幼虫や 虫卵を 口から取り込むことによって 感染します
回虫の幼虫は ヒトの体内では 成虫になれず 幼虫のまま体内を移行します
脳に寄生すれば てんかん、 痙攣、 髄膜炎症状などが出ます
眼に寄生すれば 硝子体混濁や 網膜はく離などの 原因となります
眼に寄生した場合、眼が 猫目状にきらきら光り、これが おおきな特徴です
乳幼児は 砂場遊びが 原因かも知れません
事実、砂場の実態調査では 高率に イヌ回虫卵が発見されています
ペットであれば 幼犬 ・ 幼猫のうちに 回虫の駆虫薬投与をしなければなりません
6ヶ月未満の 幼犬では ほぼ 100%が イヌ回虫に感染していると言われています
あと、砂場で遊んだ後や 庭いじり、幼犬と遊んだあとなどに 手を良く洗わずに 食べ物を口に入れるなどの行為が 危険です
犬の 心臓に寄生し、寄生率は 30~ 50%と いわれています
蚊が 媒介するとされているので、犬とともに生活している人は 蚊に刺されない工夫が必要です
発症者は 40歳以上が多く、肺寄生が 圧倒的に多いとされています
肺に 腫瘤影を形成し、 肺結核、 肺癌と 誤診されやすくなります
幼若成虫が 肺動脈に詰まると 肺塞栓を起こし、呼吸困難を起こします
ネコ引っかき病 が 有名ですが、その他に パスツレラ症、 カプノサイトファーガ症、 トキソプラスマ症、 サルモネラ腸炎、 キャンピロバクター腸炎などがあります
ネコに引っかかれると バルトネラ菌が ヒトの体内に入り、典型例では 数日後に 皮膚が腫れ、リンパ節が腫れますが、さいわい あまり重篤な状態にはなりません
しかし、まれに 脳症を起こすこともあります
咬まれると これらの病原体が ヒトの体に入り、見た目の傷は小さくても やがて局所に 化膿創を作ります
そして 周囲の軟部組織に広がって 蜂窩織炎 と 呼ばれる状態になります
時には 敗血症を引き起こし、致死的な経過を取ることもあります
感染している猫は 無症状ですが ヒトが 猫の糞便を介して感染すると 熱発、 リンパ節腫脹をきたします
妊娠中であれば トキソプラスマ原虫が 胎盤を通して胎児に移行し、出生児に 網脈絡膜炎、 水頭症を起こします
ミドリガメなど カメ類に寄生している サルモネラ菌が よく知られています
原因のわからない下痢をした経験のある人、ひょっとして ネコか カメを飼っていませんか?