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No.081 食文化

2011/10/24

近くにありますか?

米国料理店 や、英国料理店

日本では、あまり聞かない
これは、そもそも、 「米国料理」 、 「英国料理」 等という、固有の形式の料理がないからだろう
因みに、英国では、海外の要人を招いての正餐はフレンチと聞く
アングロ・サクソンや、ゲルマン民族には、食事を文化として重んじる傾向が少ないのだろうか?
ドイツでは 「カルテスエッセン」 (=冷たい食事) といって、夕食は加熱しない、簡単な食事で済ますということを、ドイツ語の講義で習った覚えがある

米・英は、アングロ・サクソン系と呼ばれる

アングロ・サクソン人とは、現在の国名で言えば、英語圏、すなわち、英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどを指す
しかし、歴史を辿ると、アングロ・サクソン系とは、ゲルマン系の3部族がグレートブリテン島に侵入して、英語を話すようになった民族であるという

現在のゲルマン系とは、ドイツ語圏の諸国である、ドイツ、オーストリア等のことだが、オランダ、スウェーデン、デンマークも、元を正せばゲルマンの血を引いている

結局、英・米を含む、これらすべての国々は、ルーツが同じ、似通った民族と考えていいのかも知れない

なぜ、ゲルマン、アングロ・サクソンには、食文化が発展しなかったのか?

食文化とは対照的に、アングロ・サクソンやゲルマン系の国々は、独自に高度の機械文明を作り上げた
ロールスロイス、メルセデス、ボルボ、サーブなどの自動車は独創的である
そして、その性能、実用性、安全性、耐久性とも世界標準となっている
また、スイスの時計は、あまりにも有名だ
医学の分野では、デンマーク製の検査機器なども世界各国で使われている

さて、対極のラテン系

僕は、 「ラテン系」 という言葉の響きに、気さくで明るく、誰にも声をかける、面白い、熱しやすい、ゆるい、といったイメージを抱いているし、僕以外の多くの人も、きっと同様のイメージを持っているだろう
しかし、本来、ラテン系民族とは、古代ローマ市民権を持ち、ラテン語を話していた人々の末裔である
現在の国家では、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、メキシコ、中南米の諸国などらしい

ラテン系の国々には独特の食文化が発展した

イタリア料理フランス料理スペイン料理 などが有名である
料理のみならず、ファッションでも、イタリア、フランスなど、デザイナーズブランドも数多く、世界の先端を行く

しかし、機械製品となると、ラテン系国家の有名ブランド名はあまり聞かない
自動車では、フェラーリ、ランボ、マセラッティなどが思い浮かぶが、これらは、とんでもないスペックだったり価格だったりして、とても実用車とは言い難く 「走る芸術品」 である

ゆるい文化の民族には

食を楽しむ文化が発展したが、
一方、合理的で理詰めの精神を持った国では、食に対するこだわりや、調理の工夫に対する関心は薄いのかも知れないと僕は感じる

さて、日本はどうだろう

日本では、豊かな食文化が発達した
懐石料理は見た目にも美しく、鮨はネタにこだわり、蕎麦は風味を大切にし、大豆は加工されて種々の食材となり・・・
数え上げたらきりがない
ステーキにしても、米国では肉量が多いことが特徴だが、日本では量ではなく和牛の肉質、旨みに対するこだわりが強く、ブランド牛に至っては、とんでもなく高価である

だから日本はゆるい国なのか?

逆必ずしも真ならずだが、僕の理論からいうと、日本は 「ゆるい国」 なのだ
言い方が悪かったなら言い換える
日本は 「融通がきく国柄」 といった所か

ドイツは

動脈硬化を促進することがわかっているトランス脂肪酸を含む食品販売を、ずっと前から禁止してきた
これに比べて、日本は、10年以上も遅れて、今、やっとトランス脂肪酸に注目し始めたばかりだ

また、ドイツは

きっぱりと、脱原発路線に切り替えた

一方、日本は

政治家が勢いで(はずみで?) 「脱原発!」 とは言ってみたものの、電力行政にはしがらみが多く、実現はかなり困難と思われるし、具体的な代替エネルギー確保の目算もない
それが日本

やっぱり、ゆるい

これが日本の 残念な所でもあり、また、楽な所でもある

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