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No.287 軍師

2014/02/03

クロカン というと、もうすぐ ソチ

そう、通常 クロスカントリーを思い浮かべるのだが、今のメディアでは 黒田官兵衛 のことを、こう呼んでいることが多い
いわずもがな、大河ドラマの影響だ
いくら何でもふざけている

大河ドラマで一般受けするのは、幕末物と戦国時代ものと言われる

そのうち、戦国物では有名武将に関する物語はすでにネタが尽きたようで、切り口を少々変えて、世間にさほど知られていない、時代の脇役、特に軍師を主役に据えることが多くなった

「天地人」 の直江兼次しかり、 「風林火山」 の山本勘助しかり

そして今年は、遂に名前がもろ タイトルになってしまった黒田官兵衛孝高である

黒田官兵衛の関わった戦は 50戦以上あったとされるが

一度も負けたことがなかったとのこと

「無敗の将」 として知られる上杉謙信でさえも負け戦はあったというのに

「官兵衛がそんなに戦上手なのに、なぜ天下に号令する立場に立たなかったのであろうか」

という素朴な疑問は誰でも抱くことだろう

戦上手だけではトップに立てない?

いや、当時のいわゆる 「軍師」 は、戦以外の内政などに関しても助言をする、総合的なアドバイザーだったらしい

やはり、人の上に立つには

進むべき方向性を示す能力とか、人望とか、カリスマ性とか、カッコ良さとか、厳しさと優しさを併せ持つとか、その他もろもろの条件が揃うことが必要なのだろうか?


少し前のブログで紹介したように、僕は遅負けながら 「永遠の零」 読んだ

そこには、知ってそうで知らない世界、航空戦の実際が事細かく表現されている
そして、 600ページ近い本のほとんどが太平洋戦争の話で埋め尽くされている

おそらくは史料に基づいて書かれているだろうから

「ドキュメンタリー」 といっても過言ではないであろう

当時の戦況、帝国海軍の実情に関しては、むずかしい昭和史の教科書を読むよりも、はるかにわかりやすい

しかし、最終章に現れる、どんでんがえし的な

言って見ればきわめてフィクション的な展開が意外で、この部分が小説たる所以であり、そこに感動する人は多いのかも知れない

当時の帝国海軍は官僚組織そのもので、約 20階級からなる序列制であった

階級が下の者は上官に絶対服従の世界
階級制度は膠着化していて柔軟性に欠けていた

上級士官や作戦参謀は超エリート官僚であり

第一線に出ることもなく、自身の立身出世、保身を目標にしていた面も大きく、またメンツも重視していたようだ

太平洋戦争というくくりで考えると

大規模戦争のようだが、その前線は局地戦であり、前線の指揮官の采配で勝敗が決したと思われる

しかし、いくら指揮官が優秀でも、作戦に上層部の許可がなければ実行できないし、逆に上層部から無理な作戦命令が出れば、負けると分かっていながら実施しなければならない

現場の指揮官は 「軍師」 であるべきだったのに

将が軍師の意見を容れないのでは戦に勝てない

米軍 (連合国軍) の物量を相手に

小国 「大日本帝国」 が勝利をおさめることができるはずもないが、本土にいる高級参謀が第一線の指揮官の意見を受け入れていれば、少なくても無意味な作戦で、かけがえのない両国将兵の人命を失うことは、はるかに少なかったはずだ

と、わかった風なことを書いてみた

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