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No.004 ある木曜日

2010/11/12

午前中は新患が多い。

必然的に検査オーダーも多かった。

幸い、臨床検査部門や放射線部門が機能的に動いているので、結果はすぐ出る。
したがって診断もその日につく。これは小気味よい。

画像は回線を通じて診察デスクの大きなビューアーに表示される。
画像の拡大も自由。長年使い慣れたシャーカステンは不要となった。
レントゲンフィルムの保管場所も不要となった。便利である。

紙カルテは融通がきき、却って電カルよりも医師のしなければならないアクションが少ないのは有難い。

余談

あのインターネット発祥の地、アメリカでの電子カルテ普及率はたった 1.5%程度 とのこと。
なぜだ!やはり紙カルテの良さも見直すべきなのか?

日本と韓国は電子化先進国である。

PCの高機能、高速度化は年々加速し、携帯電話の機能も飛躍的にアップしつつある。
15年前のインターネット創世期と現代とでは隔世の感があるが、
このまま加速度的に進化発展していくであろう電子化社会はこれから15年後、一体どんなものになっているのか、想像がつかない。

医学に目を向ければ

「診断用ソフトウエア」の開発は理論上はすぐにでも可能であろう。
年齢、性別、症状と身体所見、病歴、検査所見などを入力するだけで、診断名が確率の高い順に瞬時に羅列され、
更に追加すべき検査や、最新、最適の治療法が画面に表示される日は近いかもしれない。
疾患の見逃しもなくなる。

そうなれば総合診療医の能力や技能はもはや不要、いや、内科医自体が不要となるかも知れない。
実際、外科治療でもロボットが一部手術を手助けする現代である。
胃カメラや大腸カメラだってERCPだって心カテだってコンピューター制御の機械が正確に実施してしまう日が来るかも知れないのだ。

ケースにもどって:下肢のむくみを訴えた埼玉県在住の患者さん

心、腎、肝に原因はなく、結局カルシウム拮抗薬の副作用と判明
減塩食を指導し、わずかの利尿薬を処方し、CCBをARBにかえて帰宅してもらう。
たぶん、次回受診時は改善していると思う。

別の患者さん

慢性心房細動の患者にワルファリンを処方するべきか悩む。
CHADS2スコアでは1点だが、前医からはワルファリンが処方されている。
止めてしまうのは少々気が引ける、どうしようか。

午後:隣接した特養の回診と処方

比較的元気な方もいれば拘縮がひどく、意識状態も今ひとつ、胃瘻を造設され寝たきりの人も多い。
この人達にだって元気で活躍していた時期が必ずあったのだ。

人間はどんな状態になっても与えられた命ある限り生きていかねばならぬ運命なのか・・・。

人間は日々年をとる。

長く生きれば必ず辿る道なのだ。長命を望む人は多いが・・・。

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