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No.058 役者の最期

2011/07/25

「大鹿村騒動記」 という映画を企画し主役を演じ、完成させ、

舞台挨拶にまで立った原田芳雄が亡くなった

まだ若すぎる、71歳の死である
最後まで、役者としての仕事を全うした姿を、弔問に訪れた原田美枝子は
「寂しいですけど、かっこいい」 と言った

緒形拳は

「風のガーデン」 を撮り終えて、間もなく亡くなった

渥美清は

「男はつらいよ48作目」 を撮り終えて、間もなく亡くなった

田宮次郎は

「白い巨塔」 を撮り終えた直後、亡くなった

僕らは

彼ら偉大な俳優が亡くなったあと、その遺作を見ることになる
もしくは、遺作と知らずに作品を見たあと、彼らの死去を知ることになる

彼ら俳優は、「自分は、ほどなく死ぬ」 ということがわかっているが

これが最後の自身の映像として残ることを知っているので、心を込めて、淡々と演技をこなす

映像が公開されたあと、自分の死去を知らされた視聴者が驚く姿を心に思い描きながら、密かにほくそ笑んで、演技をしていたのかもしれない

出来上がった映像からは

彼らの、やつれた様子など微塵も伝わってこない
だから、聴衆は突然の訃報に驚く

これこそが、彼ら俳優にとっては、役者人生最後の、そして最大の「演技」なのだろう

こんな「かっこいい」 最後 を迎えられる人々は稀である

現在は、長寿社会である
しかし、長寿と引き換えに、長患いの果てに、寂しくこの世を去る人が圧倒的に多い
「健康で長寿」 は理想であるが、人生ままならない

しかし、それも人生なのだろう

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