2011/07/25
舞台挨拶にまで立った原田芳雄が亡くなった
まだ若すぎる、71歳の死である
最後まで、役者としての仕事を全うした姿を、弔問に訪れた原田美枝子は
「寂しいですけど、かっこいい」 と言った
「風のガーデン」 を撮り終えて、間もなく亡くなった
「男はつらいよ48作目」 を撮り終えて、間もなく亡くなった
「白い巨塔」 を撮り終えた直後、亡くなった
彼ら偉大な俳優が亡くなったあと、その遺作を見ることになる
もしくは、遺作と知らずに作品を見たあと、彼らの死去を知ることになる
これが最後の自身の映像として残ることを知っているので、心を込めて、淡々と演技をこなす
映像が公開されたあと、自分の死去を知らされた視聴者が驚く姿を心に思い描きながら、密かにほくそ笑んで、演技をしていたのかもしれない
彼らの、やつれた様子など微塵も伝わってこない
だから、聴衆は突然の訃報に驚く
これこそが、彼ら俳優にとっては、役者人生最後の、そして最大の「演技」なのだろう
現在は、長寿社会である
しかし、長寿と引き換えに、長患いの果てに、寂しくこの世を去る人が圧倒的に多い
「健康で長寿」 は理想であるが、人生ままならない
しかし、それも人生なのだろう