2011/11/10
転倒・転落による骨折が急増することが懸念されている
高齢者は、段差も、障害物もない所で転倒する
これは、体がバランスを崩した時、リカバーできないことが大きな要因らしい
酔っ払ってバランスを崩したり、段差につまずいてバランスを崩すことはある
しかし、高齢者との違いは、青壮年者は、バランスの崩れを咄嗟にリカバーできる筋力と反射神経を持っていることである
また、転倒の結果も、青壮年者と高齢者とでは大きく異なる
精々、外傷だけで済む若年者に比べて、高齢者、特に女性は容易に骨折をするのだ
椎骨(背骨・腰骨)の圧迫骨折(つぶれる)である
圧迫骨折は、痛さを数ヶ月我慢すれば自然に痛みはなくなって行く
しかし、椎骨が潰れて変形することを繰り返す結果、 「腰が曲がる」 、 「背中が曲がる」 などの、高齢者特有の体型となってしまう
これに対して、大腿骨頚部骨折は、尻餅をついた時などに起きる股関節の骨折で、運が悪いと、高齢者を寝たきり状態にしてしまう
開眼しての片足立ちが15秒以内しかできない人はバランス感覚が悪く、転倒しやすいという
では、バランス感覚や筋力を保つにはどうすれば良いのだろう
さらに、太極拳がバランス能力向上に大きな効果があり、転倒・転落を防止するとの研究結果も米国から発表されている
「活性型ビタミンDがバランス感覚を良くするのではないか」 と考えられている
実際、血中ビタミンD濃度が低い人が転倒しやすいという
活性型ビタミンD製剤は 「アルファロール」 、 「ワンアルファ」 、 「ロカルトロール」 、 「オキサロール」 などの商品名で販売されているが、これらは医療機関でしか処方することができない薬だ
事実、病院や診療所などではこれらの薬剤が多く処方されているが、これは、骨折のリスクを減らすのが目的というより、バランス感覚を改善するのが目的だったようだ
逆に転倒・転落を招くかもしれないものもある
それは、ある種の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)や、抗コリン作用を持つ薬などであるが、その種類は多い
一般に高齢者ではこれらの薬剤が数多く処方されている例があり、見直さなければならないこともあるが、これは処方する医師の責務である
そもそもの原因である転倒を防ぐことであり、これは自動車事故を未然に防ぐ、アクティブセーフティー(ワイパー、アンチロックブレーキ、トラクションコントロールなど)と同じ考え方である
ヒッププロテクターは、その代表格だ
腰に装着することで、転倒時の大腿骨頚部骨折を防ぐことができる
しかし、24時間装着をするのがわずらわしいなどの理由で、たまたま装着していない時に転倒し、骨折という場合も多く、その有効性は今一つといった所と考えられている
「エアーセル」 といって体重をゆっくりかけて行くと空気が逃げてぺしゃんこになるが、急激な衝撃では空気が逃げず、転倒の衝撃を吸収するというものがある
そこで、これを用いた装具がある
これは装着し続けていても違和感がなく、転倒時の骨折防止に役に立ちそうだ
ヒッププロテクターや、エアーセルを用いた装具は、自動車で言うなら、パッシブセーフティー(エアバッグ、lシートベルトなど)であり、事故が起きてしまった時に乗員を保護するシステムである
なお、将来はエアーバッグを仕込んだオーバーオール(つなぎ)なども、転倒時の骨折防止用として活用できるかも知れない
このことから、今の日本の政治を連想するのは僕だけであろうか?