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No.273 目的と目標

2013/12/02

同じようで、異なる言葉

「目的は抽象的なもので、それを達成する手段として、具体的目指す所が目標」 という解釈が一般的らしい

だから 「目的のない目標はない」 と言われる

さしずめ、僕にとっての 「目的」 は

自分の前に現れた全ての病人を健康状態に戻すこと

「目標」 は
そのために多くの疾患を知り、その治療法を学ぶこと

そういうことになるのか?

英語ではどうだろう

目的は purpose とか aim 、ついでに目的地は destination
いっぽう、目標は target らしい
ターゲットは 「的」 だから、 「目標」 は 「目的」 か?

「目的」 は抽象的なものと言うけれど

「米国の真の目的は」 などと使うから、 「目的」 は、けっこう具体性を帯びている場合もある

ええい、もうわからなくなってきた
どうでもいいことかもしれないが、考え出すと面倒なことになって行く

さて、僕に関して言うなら

医師という職業に関して、目標はあっても、目的がよくわからない

僕の目標は

「正確な診断に基づく正確な治療が 100%できること」
これを常に 「目指している」 ことだけは間違いない
しかし、この目標に、近づくことはできても、到達することなど、きっと絶対に無理である

しかし、この目標があるから、症例報告や教科書を読むし、時には文献を探す


職業を離れ、日々の生活ではどうか

月に数回は休日がある

休みの日の過ごし方が大問題だ
目的がないと、することがない

「目的は自分で作るもの」 ということを実感する

「部屋の大掃除とか、家具の配置換えとか、CDの整理、本を買いに外出」

などと目的を定めれば、一日は有意義に過ぎてゆく
しかし、何もすることがない日 (する気力がない日?) だって、時にはある
目的のない一日ほど辛いものはない

忙しさに ため息の出るようなウイークデー

目的は、むこうから、嫌おうなしにやって来る
しかし、このほうが、ずっとずっと楽だと気付く

人は目的がないと生きて行けない

ここでは 「目標」 でなく 「目的」 だ

「人生は死ぬまでの暇つぶし」

いみじくも立川談志はこう言った

全くもってその通り

だから、目的を作り、その目的達成のために、人生の残り時間を上手につぶすことができる人は幸せだ

僕はドライブが好きだが、目的のないドライブはしない

誰もきっと同じだろう

ドライブの目的?

どこかの観光地に行く
エンジンの調子を調べる、エンジン音をひたすら楽しむ
弱りかけたバッテリーに充電をする

そうそう、先日のこと

長野県内に支店が一つもないと言う、とんでもないメガバンクの口座を整理するという目的のため、往復 600kmものドライブをした

そんな目的がなければ、いくらドライブが好きでも、これほどの長時間ドライブはしない
おかげで高速道路の沿線の美しい景色を存分に楽しんだ

新人女優がインタビューで

「目標とする女優さんは誰ですか?」 などと聴かれる

そう、目標とは、近づきたい理想の姿、 「夢」 と言い換えてもいい

いっぽう、目的とは、具体的に達成すべき内容

目的と目標を関連付けて考えようとするから、ややこしいのだ
目的と目標は、言葉こそ似ているが、全く別のものと考えればわかりやすい

すっきりした

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