ホーム > Dr.ブログ > No.412 良いニュースと悪いニュース

  • 救急の場合
  • 診療時間
  • 面会時間
  • 人間ドック
  • フロアマップ
  • 川口正展のなるほどザ・メディスン
  • Dr.ブログ

No.412 良いニュースと悪いニュース

2015/11/17

「今、君にとって悪いニュースと良いニュースがある」 が 「どちらを先に聞きたいかね?」

これは外国映画などで しばしば耳にする台詞である

「良いニュースを先に伝えるか、悪いニュースを先に伝えるか」

という議論があるということは、要するに結論が出ていないということだろう
すなわち、状況によって異なるため、一般論にしてしまうのには無理があるということだ

ある人は言う

「悪い情報を先に聞いたら、ショックを受けてしまい、後の良い情報は頭に入ってこない」

また別の人は言う

「先に悪い情報を聞いたとしても、後に聞く良い情報によって、悪い情報の悪さが希釈される、ヒトは最後の言葉を 最も強く記憶しているものだから」


例 1 : ある人に、是非改めて欲しいこと、もしくは要求がある

こんな場合、いきなり自分の要求を相手に伝えるのではなく、まず、その人が自分にしてくれたことで助かったことや有難かったことなど、何でも良いから探して、それを相手に表明する (良いニュース)
そして、その直後に自分の要求を述べる (悪いニュース)

僕はこういった手法をしばしば使うが、これが結構有効だ

たぶん、自分が評価されたという喜びが、後に述べられる自分に対する批判や要求を容認させてしまうからだろう

例 2 : 医者が病状を説明する場合

これは、伝える相手が患者本人であるか、あるいは患者の家族かによって微妙に異なる
最近の患者は高齢者が多いので、本人ではなく家族に病状説明をする場合が多くなった
僕は、病気の本質、つまり最も伝えなければならないことを最初に話す
勿論、その中には、治癒できる病なのかそうでないのか、入院期間はどれくらいか、どんな治療を選択するべきか、などが含まれている

「良いニュースを先に伝えるか、悪いニュースを先に伝えるか」

などといったことは、医療現場ではあまり問題にならないものだ

 |