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No.430 職がない

2016/03/22

No.420 「49%」 で

NHKで放映された 「クローズアップ現代」 の 「将来、人工知能の発達によって 49%の職業が無くなる」 といった内容の紹介をした

今回、クローズアップ現代が、また この話題を取上げた

前回の放送と 多少異なるのは、 「 20年後に 消える職業」 として、 事務、 物流、 警備、 広告、 調理、 農業、 清掃、 建設、 通訳、 秘書を 挙げていたことと、 スイス、 スウェーデンなどが 対策として、すでに 労働時間の短縮や ベーシックインカムの導入を検討しているということぐらいだった


49%の職種がなくなるといえば

51%は残るではないか と考え勝ちであるが、国民の大多数が この 49%の職業に就いているわけで、それが不要となれば、大多数の国民は、生涯、職に就けないということになる
まさに、 「大学は出たけれど」 の再来である

いっぽう、企業は 人事管理の煩わしさから開放され

「春闘」 などという言葉は消滅し、人件費の削減によって 大幅に収益を伸ばすことができよう

残った 51%の職種は

恐らく ごく一部の高度な専門職が主体であり、人口比率では 圧倒的に少ない
この少ない層が 収入を増やし、大多数の国民は 無収入という構造が出来上がる
まさに、ピケティの言う格差社会とは別構造の 経済格差社会の極致である

企業が 業績を上げるためには 商品を売らなければならないが

皮肉なことに 国民に購買力がないから 国内では商品が売れない
恐らくは、輸出できる商品を主体に生産することになり、日本の貧しい国民は TPPで安くなった 輸入品ばかりを買って生活をすることになろう


ベーシックインカムとは

就労の有無にかかわらず、生活できる最低限の金額を 国家から給付されるものであり、財源は 業績を上げる企業の収益を 国家が吸い上げたものということになるだろうが、果たして どこまで実現が可能なのだろうか 疑問であるし、たとえ、給付を受けても 職がないのはつらい

多くの人は

労働の対価として収入を得ることによって、自分が 役に立っているという満足感や、仕事を成し遂げる充実感を 味わっているはずであり、金銭の保障だけを約束されても、職がない生涯は 寂しいのではないだろうか

そこで人は 労働市場を求めて 発展途上国へと流出する可能性がある

つまり、国内に残るのは、資本家と 一部のエリートのみという社会が 出現するかも知れない

このあたりをまとめて

「 21世紀の資本」 ならぬ 「 21世紀の資本論」 を誰か書いてはくれないだろうか


IT技術の革新や 人工知能の発展は 加速し続けるだろうから

製造、 販売、 流通、 サービス、 医療 ・ 福祉、 教育など、あらゆる分野で、どんどん ヒトが不要になって行くことは 必至である
そして 資本主義社会が 収益を追求する社会である以上、行き着く先は 雇用ゼロ社会ということになろう

さきに紹介した番組では

20年後という 比較的近い未来の予想であったが、きょう生まれた子供は 100年後まで生きる
そのとき、どんな社会になっているのだろうか?
いま 生きている大人は 100年後とは無縁だ
しかし、100年後の社会は 我々の考えうる範囲を はるかに超えた構造的変化をとげていると 僕は思う

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