2016/08/26
はじめ、僕は 「どうせ、一般受けする 戦国時代をテーマにした 周知の物語だろう」 と 思っていた
しかし、回が 進むにつれ、今までの 戦国時代ドラマでは あまり描かれてこなかった部分に スポットを当てて ストーリーが進んで行くことに、僕は うすうす気付き始めた
そのかわり、これまでは 英雄としての面ばかりが強調されることの多かった 秀吉については、その晩年を、哀愁きわまる映像で 数回にもわたり 念入りに描いてみせた
それぞれの 武将たち、また これまでの戦国物では あまり着目されてこなかった武将も含めて、彼らの さまざまな思惑、 駆け引き、 裏工作など、当時 くり広げられたであろう 複雑な人間模様を 克明に、そして 丁寧に描いてゆくさまは、これまでの 三谷幸喜 (脚本) からは、ちょっと 想像がつかないほどの 良い仕上がりと思う
まるで ギアナ高地を 髣髴とさせるような 数条の滝の流れ落ちる断崖絶壁と、そのてっぺんにそびえる 天守閣や、蔦のからまった 古さを感じさせる 城郭
バイオリンの ソロで始まる 服部隆之の テーマ音楽も 秀逸であるが、今までの大河と異なり、タイトルバックの中に その回の シーンの一部が出る仕掛け
何もかもが 今までの大河とは 一味も二味も異なるのである
自家が 生き残るために、刻々と変化する情勢に応じて 様々な 選択や 決断を迫られてゆく
仕える大名を 転々と変えて 上手に立ち回る者あり、己を 捨てる覚悟で 義に徹する者あり、巧妙な策で 他を翻弄する者ありで、何か 現代にも通じる 処世術みたいなものさえ 感じさせる
近年、石田光成の頭蓋骨から、犯罪捜査の技術を用いることにより、彼の 生前の顔が 復元された
今までの 悪人顔の肖像画とは 全く異なる、 目の大きな、 さいづち頭の その表情は、きりりとしていて どこか優しささえ感じさせる
偶然なのか 今の配役 ・ 山本耕史と、とても似ていると 僕は思う
単に 信州の小さな名家 真田家の 興亡を描くというよりも、 「真田家目線での 戦国秘話」 といったところが 三谷幸喜の 表現したかったことなのだろうと 僕は 勝手に解釈している