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chap.004 B型慢性肝炎

2014/10/21

B型慢性肝炎は

B型肝炎ウイルス (HBV) の母児感染 (母親がウイルス持続感染者の場合、出産時に児が感染する) に起因することがほとんどであったため、予防接種が発達した今の日本での罹患者数は、すでにそれほど多くはなくなって来ました

いっぽう B型急性肝炎は

HBV持続感染者との性的接触などで発症し、多くの場合は完全に治癒して、慢性肝炎には移行しないと考えられてきました

しかし、近年

B型急性肝炎が慢性化するケースが出始めたことには注意が必要です
これは外来種のHBV (欧米型、アジア・アフリカ型 : ジェノタイプA) が、急性肝炎を引き起こすと、慢性肝炎に移行しやすいことによると考えられています


HBVは、 C型肝炎ウイルス (HCV) とは異なり、

薬剤による完全排除が困難なため、ウイルスの活動を鎮静化させることを目標として薬物療法を続けます
インターフェロンを使用するケースと、核酸アナログを内服するケースがあり、後者の場合、内服を継続している間はウイルスの活動が沈静化し、肝炎の進行が抑制されます

しかし

従来の抗 B型肝炎ウイルス薬 (ラミブジン、アデホビル、エンテカビル) には耐性変異株ウイルスが出現しやすいことが問題となっていました

これまでは

耐性ウイルスの発現率が比較的低いエンテカビル (バラクルード) が第一選択薬とされてきましたが、このたび、第 4の核酸アナログ製剤としてテノホビル (テノゼット) が登場しました
テノホビルは耐性ウイルスが出現しにくく、薬効も高いため、平成 26年肝炎治療ガイドラインにエンテカビルとともに、核酸アナログ製剤の第一選択薬として掲載されました

なお、テノホビルは

すでに抗 HIV薬として 10年ほど前から使用されている薬剤で、これを B型慢性肝炎の治療薬として応用したというわけです

HBVは、 HCVと比べて

感染から比較的早い時期に肝細胞癌を発生させることから、薬剤によるウイルスの沈静化をはかることはきわめて重要です

慢性ウイルス性肝炎の治療は

肝炎治療に習熟した診療科で受けることができます

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