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No.093 マイコプラズマ再び

2011/12/06

今年はインフルエンザの流行が遅い

かわりに、今、日本中で、マイコプラズマ感染症が猛威を振っている
マイコプラズマ感染症は15歳以下の世代が圧倒的に多く、インフルエンザとは病像が異なるため、初期には 「単なる風邪でしょう」 ということになって、対症療法で帰宅させられることも多い
もちろん、血液検査でマイコプラズマ感染症と診断がつくこともある

マイコプラズマとは

細菌とウイルスの中間のような微生物で、通常の顕微鏡では目視できない
これがヒトに感染して発症すると、発熱、咽頭痛、咳などの、一般の感冒と似た症状で始まり、たやすく気管支炎や肺炎に発展する
たとえ肺炎にはならなくても、下熱したあと、空咳が何週間も続くという、やっかいな病原体である
マイコプラズマの感染力はさほど強くないとは言え、家族や教室のように、ヒトとヒトが濃密に接触する集団内では感染が広がる

マイコプラズマ肺炎は肺炎球菌肺炎とは異なり

重篤な経過を辿る例は少ないため、入院ではなく、外来で治療することも多い
勿論、肺炎であるから、中には重症化して、人工呼吸を必要とするような症例もある

さて、治療

マイコプラズマに対しては、昔からマクロライド系抗生物質が第一選択だった
過去形にしたのは、今年はマクロライド系が効かないマクロライド耐性マイコプラズマが増えたからで、半分から9割近くの症例でマクロライドが効かないと言われる
つまり、医師がマイコプラズマ感染症と正しく診断して、特効薬のクラリスロマイシンやアジスロマイシンを投薬しても、全く熱が下がらない場合があるわけだ

理由は定かではないが、恐らくは、これまで 「第一選択」 ということでマクロライド系抗生剤ばかりを使ってきたことにより、マイコプラズマがマクロライド耐性を獲得したのだろう
マイコプラズマに対する第二選択治療薬はテトラサイクリン系とフルオロキノロン系であるが、特に小児科領域ではこれらの薬剤が使えないため、マクロライド系だけが使用されて、結果、耐性菌が出てきたと言われている

ここ飯綱病院でも

マイコプラズマによる気道感染は10月頃から増えてきている
しかし、なぜだか、幸運にもマクロライド系が良く効く例が多いというのが実感だ

受験シーズンと重なって

冬独特の感染症が流行るので、受験生は困る
マイコプラズマのワクチンが開発され、マイコプラズマとノロウイルスとインフルエンザの3種混合ワクチンを冬の初めに接種できるようになるといいのに

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