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No.014 マイコプラズマ感染

2011/01/05

鳥居

長野県に来て、初めての、新しい年を迎えた

1月2日には30センチ近い積雪があり、まだ、あたり一面、雪景色である

雪をいただく連山が朝日に照らされる風景は、まるで水墨画のような美しさだ

雪景色

「マイコプラズマ肺炎患者が過去10年間で最多となっている」

取り残されたリンゴ

と昨年12月3日づけで国立感染症研究所が発表した
飯綱病院外来でも、今年はやけに多い印象だ

「マイコプラズマ」とは

細胞壁を持たない小さな菌で、
ある種の抗菌薬しか効かない呼吸器に感染すると、
風邪と区別がつかない症状で発症する

医師がマイコプラズマ感染を疑えば、
血液検査により、診断はその日につくことが多いが、
疑わなければ診断はつかず、「風邪ですね」で終わる

その血液検査だって万能ではなく、
マイコプラズマ感染であっても、
発症から3日以内では結果が「陰性」になりやすいし、
今の症状がマイコプラズマ感染でなくても、
過去にマイコプラズマに感染していれば、
1ケ月から長ければ半年は「陽性」と出ることだってあるから、
判定には慎重を要する

幸い、
マイコプラズマ感染症は重篤になることは少なく、
治療しなくても自然治癒する場合が多いとされている

しかし、
厄介なのは

マイコプラズマによる気管支炎や肺炎を起こせば、
強い空咳が1ケ月近く続くことである
激しい咳が原因で、
助骨が折れることだってある

潜伏期は2から3週と長いし、
臨床経過も一般のウィルスによる気道感染よりも長くて、
だらだらと風邪症状が続くのが特徴だ

さらに、
幼児では殆どが風邪症状だけで終るのに対し、
5歳以上では気管支炎や肺炎を高率に起こすという特徴もある

では、
一体どうやって
「マイコプラズマ感染症かも知れない」
と気づくのか?

今年のマイコプラズマの気道感染症は、
頭痛を伴うことが多い印象だ

確かに、
内科学のバイブルとされるハリソンの教科書にもマイコプラズマの
「頭痛」
は初めに記載されている

初診に診断がつき、
適切な抗菌薬が投与されれば、
頑固な咳に悩むことはない

ワクチンでも開発されると良いのだが・・・・・

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