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No.018 僕の経歴 その5 K病院・救急医療篇

2011/01/25

毎日のように緊迫した臨床場面に直面して、手を動かしていなければ

「どの薬剤を、どれくらいの濃度で、どれくらいの速度で点滴するのか」
など、
すぐには浮かんで来ない

経験の数が多いほど鑑別診断が浮かび易いし、
間違った先入観や思い込みは少なくなる

また、「経験とは失敗すること」の名言があるように、苦い思い出は必要だ
人は、
誰にも言えない苦い経験を重ねて一人前の医者になって行くのだろう

場数を踏むほど、
緊急事態に冷静になることができることも知った

自分に、まだ余裕がなかった頃

僕は、
緊急場面で、看護師が自分の思い通りに動かないことにいら立ち、
怒声を浴びせかけたこともある

「何やってんだ!」

救急の場で怒鳴ること、
これは、
今まで見てきた多くの先輩医師達の、
徒弟制度的指導で悪い行動パターンであり、
知らないうちに、
自分もそれを見習ってしまっていたわけだ

当時は、それが当たり前のことと思っていた

実際、
スタッフのトレーニングのために、
わざと強い口調で指示したり、
誤っていることをその場で指摘することが必要な場面はある

しかし、
どんな理由にせよ、
自分のいら立ちでスタッフや下級医に怒鳴っているうちは半人前だ

険悪な雰囲気からは何の利得も得られない

救急医はチームのリーダーだ

自分に余裕があれば、
いら立つこともないし、
誰もしてくれなければ、自分でやればよいだけのこと
また、
「Aさんは○○をして下さい」
「B君は××」
「Cさん△△」
役割を指示することによって、
例えば2人で同じことをするような無駄な動きを封じることができ、
スムースかつスピーディに処置が進んでゆく

スタッフが場慣れして来るにつれて、救急処置現場は静かに進むものだ

K病院勤務13年間で

僕は少しでも理想に近づけたのだろうか?

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