2011/04/12
「世の中には男と女しかいないんだから・・・」
なんてフレーズはよく聞く
違います
実はもっといるのだ
もちろん、ニューハーフのことではない
これは確かだ
しかし、社会的、医学的には、あと、小児、高齢者を足さなければならない
つまり、人類は4グループに分かれるのだ
ただし、何歳までが小児で、何歳からが高齢者かは簡単には決められない
人によって、歳をとる速さが異なるからである
12歳でも大人の体格の人もいれば、70歳でも50歳代の体力、知力を持つ人もいる
各グループで疾患の特殊性が大きく異なる
「小児は大人のミニチュアではない」
これは医学生時代、最初の小児科の講義で、教授が話した言葉だ
突発性発疹、腸重積(これは稀に大人でもあるが)、周期性嘔吐症など、小児独特の疾患がある
また、薬用量も、大人の量から換算するわけではないし、小児には使ってはならない薬だってある
ただし、
発育の良い最近の10代の小児は「大人のミニチュア」であるかもしれないが
動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞)、皮膚がん、誤嚥性肺炎など、これも独特の疾患がある
たとえば、特殊な例を除いて、20歳代の胸痛は心筋梗塞を否定してよく、自然気胸、心膜炎などを考える
反対に、高齢者の胸痛となれば、心筋梗塞、大動脈解離、帯状疱疹、胸膜炎など、あらゆる疾患を念頭に置かねばならないから複雑だ
「女性をみたら妊娠を疑え」
女性に対して、失礼この上ないかも知れないこの言葉は、すべての臨床医が、臨床を始めるに当たって習った
しかし、この
「名言」
を、つい忘れることがある
微妙な年齢の場合だ
吐き気の続く40代後半の女性が、妊娠をきっぱりと否定するので、原因を検査しようと腹部CTを撮影したところ、胎児が写っていたという、笑えない話が伝えられている
妊娠をする可能性のある、糖尿病女性や高血圧女性に、
SU薬(経口血糖降下薬)や、
ARB(降圧薬の一種)は禁忌である
また、妊娠中、授乳中の患者さんに投薬する場合、どの薬は可で、どの薬は不可なのか、専門家でもわかりにくい場合がある
だから、高齢の女性患者さんを診る時、僕はほっとする